学力喪失の危機~言語習得と理解の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
気づきを与えるカードゲームの魔法、大事なのは足場かけ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(4)足場かけと遊びの活用
今井むつみ(一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事/慶應義塾大学名誉教授)
子どもが言葉やその概念を学習する過程では、大人の側が知識として一方的に「教える」というやり方では、子どもの理解は促進されない。重要なのは、子どもが自分で「気づく」ように環境をつくってあげることである。そのことを「足場かけ」と呼んでいるが、そうしての教育のあり方や、ゲームを用いた遊びながら学ぶ具体的な手法について解説する。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分27秒
収録日:2025年5月12日
追加日:2025年10月13日
≪全文≫

●「教える」のではなく「足場かけ」をする


―― そこも非常に興味深いところで、先生のご本を読んでいて非常に面白かった点でもあるのですが、子どもがそういう直感、アブダクションで、もしかしたら白い動物というのはウサギかもしれないと。(あるいは)猫もいるのだとか、ヤギもいるのだと気づいていくかというところがすごく面白かったのです。

 思わぬ形で言語なり、概念を身につけていく上で、ここをぜひ先生にお伺いしたいところだったのですが、よくなぜなぜ期とか、例えばお子さんが「これ、どうしてなの」「なんで月が満ち欠けするの」と訊いてみたりとか、いろいろな時期があると聞きます。その1対1の重要性というものがあるのかないか、ということをぜひ先生にお訊きしたかったのです。

 例えば、子どもがこう疑問に思った。お母さんが、絵本の読み聞かせをしてくれていて、「ウサギってどれ?」と訊いたり、「この耳が長いのがウサギなの?」と訊いたりするようなシーンもあると思うのですけれど、この1対1でそういう概念というか、いろいろな気づきを与えていくことの意味というのは、どのようにお考えですか。

今井 ものすごくあると思います。ただ、1対1で「教える」ことはできないのです。

―― なるほど。

今井 だから、1対1でお話をして、その中で子どもが自然に気づいていく。そこが大事なところなのです。ですので、保護者の方、あるいはその周りの大人が「興味を持っているな、しめしめ、教えてやろう」と思うと、そもそも子どもはたいてい理解できないのです。

―― なるほど。そこは面白いところですね。理解をしてもらうためには、どういう働きかけがいちばんよろしいわけでしょうか。

今井 どういう働きかけをするか。いい材料をたくさん提示することでしょうか。

 あと、私は「足場かけ」という言葉を使うのですけれど、教えるということは、ある意味で引っ張り上げてしまうのです。自分のところまで引っ張り上げようとするのが、一般的な「教える」です。でも、本当に子どもが記号接地ができる、自分で知識を習得できるというのは、引っ張り上げられたらできなくて、自分で上っていかなくてはいけないのです。自分で上っていくために、全部自分で行けるかといったら、階段が高すぎて行けないということもしょっちゅうあるわけです。

 だから、高すぎる階段の1つの段を低く...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎