日本文化の世界的特徴
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親に価値があるのは「正しいから」でなく「親は親だから」
日本文化の世界的特徴(8)大家族制度と忍ぶ恋
執行草舟(実業家/著述家/歌人)
「秩序と情念」「人生と沈黙」「忍ぶ恋と愛欲」という対立した概念を受け入れているのが、日本の大家族である。日本の大家族制度は「親は正しいから権威がある」ではなく、「親は親だから価値がある」という、問答無用の制度でもある。これはある意味では、人間の持つ長所と短所を「両方認める」大きな心ということでもあった。(全10話中第8話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
時間:14分07秒
収録日:2025年10月23日
追加日:2026年2月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●親は親だから価値がある――日本の大家族の根源「秩序と情念」


執行 もう一つは、7番目の大家族です。家族制度のあり方として、世界最大の家族制度を築き上げたのは、私は日本文明だと思っています。どういうことかというと、「秩序と情念」、それから「人生と沈黙」、それと「忍ぶ恋と愛欲」。

 このような対立した全く違う概念を一つの家族の中で、正しいあり方として全部受け入れた、これを縄文時代に長い時間をかけて、日本人はやり遂げたと思っています。そうして一つの家族を築き上げることによって、日本は大家族制度をずっと続けて、それが明治まで来たのです。われわれは今でも意識的には大家族制度がなんとなくあります。その宗家が天皇家です。

 これをどのようにやったかというと、家族が愛の集団ではないことを日本は古代から認めたのです。正しいものでもない。楽しい関係でもない。もっとドロドロした違う集団として、今流に話すと遺伝子関係によって肉体の継続が行われる一つの家柄を作る。そのようなものとして機能するものを日本は作り上げた。

 世界の文明史をずっと見ると、ローマ帝国と古代ギリシャ、バラモン教や古代インド哲学、があった頃、ヒンズー教ができる前のインド、そこでは日本の大家族に近い家族制度がけっこうできていました。文献を見るとわかります。

 ところが、この大家族制度的な考え方を明治まで維持し、今も少しは残っているのは日本だけです。昔からの大家族制は法律で変えられましたが、われわれの心の中にはまだ残っています。

 調べるとわかりますが、これがどういうことかというと「秩序と情念」です。親の権威とは「正しいから親に権威がある」とか「親が尊いから権威がある」ではありません。「親は親だから価値がある」。子どものほうも、親が立派な人だから親を愛しているという人は、昔はいませんでした。親だから愛しているのです。

―― なるほど。親だから愛していると。

執行 それを私は「秩序と情念」と言ったのです。親が正しいから親を好きというのは当たり前のことです。今の日本もそうだし、今の西洋も全部そうです。親が正しい人の場合、みんな親が好きで、これは当たり前。でも昔の日本は、調べるとわかりますが、親がバカでも、間違っていても、犯罪者でも、親が好きでした。親だから。こういう制度を作り上げて成功したのが日本なのです。...