●高速鉄道建設は2020年頃で一段落の見込み
中国の高度成長を支えた二つのエンジンのうち、一つは都市化であるというお話をいたしました。今回、お話するのはもう一つのエンジン、インフラの建設です。
前回、2008年の8月に、北京―天津間の高速鉄道が初めて開通したと申しました。その後、中国の東西南北の要所をつなぐ交通のちょうどへその部分に当たるのが武漢なのですが、その武漢を起点に、日本の新幹線に当たる中国の高速鉄道が建設された時期を見ていきますと、武漢―広州が2009年12月に開通し、武漢―上海が2010年12月、武漢―深圳が2012年4月、武漢―北京が同じ2012年12月と、どんどん開通してきています。
これで主な所は大体結ばれたのですが、さらに今、中国で最も成長率を高めている武漢から西の地域の高速鉄道の建設が、まだまだこれから出てくる予定です。武漢―重慶が2015年から16年には開通し、また、重慶―成都、重慶―西安といった所も、今後2017、8年ぐらいまでには開通していくだろうとみられています。この主要都市と主要都市を結ぶ重要な高速鉄道は、2020年ごろまでにはほぼ完成をするだろうと考えられています。
●2020年を境にエンジンは減速傾向に
一度出来てしまえば、日本の東海道新幹線が東京―大阪を結んでしまった後は、他に新幹線が出来てもそれほど経済誘発効果が高いものは生まれなかったということを考えても、最初のものに匹敵するような経済効果を持つ高速鉄道の建設は、なかなかその後は出にくくなるだろうということが考えられます。この結果として、中国のインフラ建設の効果というのは、おそらく2020年前後には終わってしまうだろうというように考えられます。
しかし、そのことによって、ぱたっとインフラ建設が止まるわけではありません。日本でもその後、産業集積地もできましたし、都市の開発も進みました。地下鉄の建設や上下水道の建設も進んでいます。そういった格好で、まだまだ都市インフラを中心に、インフラの建設は進みますので、急速にインフラ建設のスピードががくっと落ちるということではないのです。ただ、徐々に徐々に、非常に強かったそのエンジンの力が、中程度のエンジンの力へとシフトしていくということが、2020年前後に起きるだろうと考えられます。