日韓条約50年
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
小渕・金の共同宣言は日韓の良好な関係のピーク
日韓条約50年(1)軍政下の締結と民主化後の好関係
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
本年2015年6月22日は、日韓条約締結から50年の節目の日に当たる。日韓関係を誰よりも見守り続けてきた若宮啓文氏が、この50年の歩みを三つの時期に分けて解説する。(前編)
時間:11分12秒
収録日:2015年1月29日
追加日:2015年6月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦後20年間国交がなかった日韓


―― 若宮さんは、朝日新聞の中で初めて韓国に留学され、ハングルを学ばれ、かつ、韓国のテレビに出演して討論までされるという、日本の知識人の中では例外的な人だと思います。しかも、軍事政権から始まって、日韓関係をずっと長い間見守られ、若宮さんほど文脈を見てこられた人はいないと思うのです。ちょうど今年は日韓条約50年ですので、そのあたりからお話しいただければと思います。

若宮 今、過分なお言葉をいただきましたが、私が初めて韓国に行ったのは1979年で、朴正煕政権時代の最後ですから、そんなにものすごく古いわけではないです。それから、全斗煥大統領の頃の1981~82年に1年間留学しています。

 実は、誤解されている方も多いのですが、私はソウル特派員をやったことがありません。よく、韓国通だ、とも言われますが、そういう意味では、韓国のことを本当にいろいろと知っているわけではないのです。ただ、政治部に在籍して外交を見てきましたし、留学等々を機会にいろいろなお付き合いも若干あったということで、日韓関係に関しては、ずっとウォッチしてきたという自負がありますし、それを著書などにも書いています。

 そういう意味で、少し総ざらいをすると、本年は日韓国交正常化から50年です。そして、戦後70年ですから、戦後20年目にして初めて国交ができたということです。つまり、植民地解放から20年も国交がなかったということです。今、考えると、少し信じ難いですね。

 この間に李承晩ラインが敷かれ、竹島が韓国側に行って、李承晩ラインを越えると漁船がずいぶん拿捕されたなどというのが、私の子どもの頃の記憶です。それはある程度整理されたのですが、交渉に14年もかかって、ついに1965年に国交正常化できたわけです。


●第1期は軍事政権時代~反共で手を結んだ日韓


若宮 それで、私なりにこの50年について考えてみると、国交正常化前を含めれば四つの時期になりますが、正常化以降を三つの時期に分けるのが一番分かりやすいと思っています。大きく分ければ二つです。

 第1期は、条約ができて、民主化が達成されるまでの軍事政権の時代です。朴正煕政権時代に条約ができますが、当時の韓国では日韓国交に反対する世論が渦巻いて、もう今の比ではないほどのものすごいデモが起こりました。ソウルのメイ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史