日韓条約50年
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
支持母体や世論を説得し、両国が納得できる道筋を付ける
日韓条約50年(2)関係修復に向けた真のリーダー像
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
日韓条約締結から50年の歩みを三つの時期に分ければ、2002年の日韓共催W杯が終わったころからが第3期に当たり、日韓の関係は現在に至るまで悪化したままである。このような状況下、安倍・朴の現両首脳は、真のリーダーとして何をすべきなのか? 若宮啓文氏が力説する。(後編)
時間:12分06秒
収録日:2015年1月29日
追加日:2015年6月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●第3期は2002年ごろから現在~日韓共催W杯後にタガが外れ問題表面化


若宮 ところが、今は第3期ですね。いつからかという判断が難しく、実は、第2期と並行してお詫びはありましたが、いろいろな問題も出てきました。例えば、従軍慰安婦問題や竹島問題はその頃から表に出てくるのです。

 竹島問題はそれ以前からの問題で、国連の海洋法によってあの海域の扱いが難しくなったということも背景にありましたが、民主化することによって、朴正煕さんが棚上げしていた問題をもっと表に主張しようということで、「独島我が土地」のような歌ができたり、いろいろな記念切手を作ったり、公安施設を設け駐留する動きも出てきました。それが民主化に伴って出てくるのですね。また、日本でも、村山談話はあったけれど、ああいう談話に対して、けしからん、という右派のマグマのようなエネルギーもだんだんたまっていたのです。

 慰安婦問題もそうです。慰安婦問題で日本側がアジア女性基金をつくろうとしたのは第2期の特徴ですが、それが必ずしもうまくいかなかったのです。これは韓国側の民主化の行き過ぎた部分だと思うけれど、それを受け入れませんでした。受け入れた人もいましたが、全体としては受け入れなかったのです。

 ですから、慰安婦問題にネガティブな日本の人たちは、それ見たことか、あんなことをやっても彼らを増長させるだけではないか、と言い出し、これがまたすごい発言なので、余計にこじれて、今日の状況になってしまったのです。そういう問題がじわじわと出てきていたのですね。

 それで、典型的におかしくなったのは、一つは、小泉純一郎さんの靖国参拝からです。その頃から、竹島を自国の領土として記載した日本の教科書がどんどん出てきます。そして、2005年に島根県が「竹島の日」をつくり、いろいろなことが決定的に悪くなるのです。

 ということで、第3期がいつからかというのは難しいのですが、あえて言えば、2002年に日韓ワールドカップの共催がありましたが、それが終わった頃からかなと私は思っています。

 それはなぜかというと、第2期には、今言ったようないろいろな問題が起きてきたのですが、小渕さんと金大中さんの共同宣言もあったし、何といっても、日韓ワールドカップを共催しようという共通目標があったのです。これは1996年に合意していましたが、それま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑