幸福とは変幻自在であり、他者から見れば不幸に思える生き方の中にこそ最大の幸福が宿ることが多い。大切なのは、自分に注がれた親の恩や他者からの愛に気づくことである。その愛を体感したとき、身の回りや日常の中に隠された「幸福」が自然と見えてくる。メーテルリンクの『青い鳥』が示すように、幸福は遠くへ探しに行くものではなく、今いる家庭や仕事場といった自分の足元に常に存在している。人生最大の事件を乗り越えて以降、より大きくなったという執行氏自身の幸福感にも触れながら、「幸福には、固定した形は一切ない」という言葉の真意を語る。(全10話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
≪全文≫
●幸福には、固定した形は一切ない
執行 次は「幸福には、固定した形は一切ない」、これを知ってもらいたい。どういうことかというと、固定した幸福というものを願う人は全部しくじるということです。幸福には全く固定したものはない。幸福は自分の心の中にあって変幻自在に変われるものだと。
この自分の心の中にある幸福、(すなわち)変幻自在な幸福というものを、私はどうやったら自分が見いだせるかということをずっと考えてきたけれど、これを見いだす力は、先ほど少し触れたけれど、親孝行、(つまり)親の恩を噛み締めるということ。親から受けた恩がわかるようにならないと、自分が持っている幸福というものは見えないのです。私はまず、そうだったので、「そうか」と気づいてから、いろんな歴史上の人物の本を読んで、全員そうなのだと(わかった)。
だから、親というものから受けた恩とか愛とか何でもいいので、少しでもそういうものがわかってくると、自分の身の回りにある幸福が全部わかるようになる。
―― それが大事なのですね。
執行 大事です。このことを昔の人が「育ちがいい、悪い」と言ったということにも気づいた。
育ちというのは、実は家柄(のこと)でもなかったし、もちろん金持ち、貧乏(のこと)でもなかった。昔は「あの人は育ちがいい」とよく言ったじゃない(ですか)、戦前までの人が。文学にもたくさん出てくる。私はそれらを総合計して、ピックアップして調べたけれど、「育ちがいい」というのは、「親の恩を体感で知っているかどうか」を見て判断しているということです。
―― なるほど。
執行 どうしてかというと、親の恩を掴めるようになると、会社なら愛社精神、国なら愛国心、新しい家庭なら配偶者に対する愛、自分の子どもに対する愛が幸福(のことであるということ)が、自動的にわかってくるということなのです。だから、幸福は固定した形がないので、何を幸福と捉えるかということを自分なりに掴まないとダメだよということなのです。
一般的な見方を教えると、先ほど少し(話に)出たけれど、歴史的に私が研究してきて(わかったこととして)、幸福は、今流の概念でテレビとか国家が言っている生き方とか人生の場合は、不幸に見える生き方の人が最も幸福な人生を送った場合が多いと(いうこと)。これに私が気づいてから50年以上、あらゆる本を読んでき...