幸福について
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神の概念とヒューマニズム…かつてはヒューマニズムに基づいて自分の幸福を願うのは「サタンの囁き」だった
幸福について(2)自分の幸福を願うのはサタンの囁き
3.タイトル未定
2026年10月4日配信予定
4.タイトル未定
2026年10月11日配信予定

5.タイトル未定
2026年10月18日配信予定
6.タイトル未定
2026年10月25日配信予定
7.タイトル未定
2026年11月1日配信予定
8.タイトル未定
2026年11月8日配信予定
9.タイトル未定
2026年11月15日配信予定
10.タイトル未定
2026年11月22日配信予定
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現代社会では個人の経済的成功や「自分自身の幸福」を追求することが当然とされているが、これは西洋でもキリスト教が失われていき、ヒューマニズムだけが残った近代以降の考え方であると指摘する執行氏。他者の幸福を祈り、自己犠牲を美徳とした武士道や騎士道精神が衰退し、物質主義的なヒューマニズムだけが残った結果、自己中心的な欲求が正当化されるようになった。キリスト教的な価値観においても、他者の幸福を願うことこそが本質であり、自分自身の幸福のみを願うのは悪魔、すなわち「サタン」の囁きに他ならなかった。(全10話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
時間:8分05秒
収録日:2026年8月19日
追加日:2026年9月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●自己犠牲の美徳が失われゆく中で書かれた『ドン・キホーテ』


―― そういう意味では、戦後の日本社会は、アメリカのリッチ・アンド・フェイマスの思想が入ってきて、ひたすらいい目に遭わなきゃいけない、金持ちにならなければいけないと。

執行 個人がね。

―― そうです、個人が。また、無限大に経済成長しなければいけないと。これのドグマに入ってしまったわけですね。

執行 だから、「金持ちになってもらいたい」「成功してもらいたい」「出世してもらいたい」「健康になってもらいたい」は、日本だったら、戦争前まで基本(的に)は家族の誰かに願う、友達に願う、尊敬する人に思う概念だったはずなのです。

―― そうでしょうね。

執行 自分に思えばエゴイズムだということは、誰もが感じていたのです。

―― わかっていたのですね、戦前までは。

執行 絶対にわかっていたと思う。私が小さい頃までの記憶だと、その頃の年寄りはみんなわかっていた。だから、自分がよくなりたいとか、自分が幸福になりたいと思った場合、思った人はもちろんいるけれど、そう思うと「いかんいかんいかん。俺は恥ずかしいことを考えた」というようなことを言う人はいました。

 でも、今言ったように、教育で自分が幸福になることを全く悪いことだという話は、今ないじゃない。

―― 今日はむしろそれを促進しているわけですね。

執行 そうです。これは経済成長のためだと。経済成長というのは、1人1人がわがままになることによって達成できる構造です。それによって、人間の大切な幸福を、私はもう失っているということを言いたいのです。

―― でも、先生の言われているのは、アメリカ社会がまさにそれを体現しているということですね。

執行 基本は民主主義から出てきたということです。

―― そうですね。

執行 民主主義が間違って(しまった)。民主主義はもちろんそういう他者の幸福を祈る概念なのだけれど、それが自分になってしまったということです。

―― そうですね。他者の幸福を祈るのか、自分が幸せになりたいと祈るのか、天と地(の差)ですね。

執行 そうです。これはアメリカと日本が一番ひどい。これが出だしたのは、歴史的に見ると、文学ではセルバンテスの『ドン・キホーテ』が始まりだと思う。

―― なるほど。

執行 『ドン・キホーテ』が生まれたのは、ルネッサンス...