『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴
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『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
上野誠(國學院大學文学部日本文学科 教授(特別専任)/奈良大学 名誉教授)
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時間:15分39秒
収録日:2026年9月16日
追加日:2026年10月20日
≪全文≫

●寄進はとても重要――国司は郡司たちに頼む側


 つまり、中央が進めたい政策といえども、地方においては、その地方で働く人がいなければどうしようもないわけです。

 これには国分寺の建立とその後の維持管理があるのですけれど、最近、国分寺の発掘、国府の発掘が進んできまして、いろんなことが分かるわけです。

 例えば、国分寺ができるとなると、お寺だから瓦がいるとなる。(そうすると、)「それでは、この地域の人たちは、これくらいの瓦を焼いて、国分寺に持ってきてください」「(別の)この地域の人はこれくらいの瓦を焼いて、国分寺に持ってきてください」(となる)。

 それで、瓦は瓦を作る工房が違えば、焼き方もちょっと違うし、模様なども違う。瓦は型に入れてその土を押し固めて焼きますので、そのときに型にちょっとした傷がついたりしますので、同じような傷がついているものは同じ窯で焼いたということが分かるのです。しかも、いつ頃傷がついたかも分かりますので、瓦の研究は建物の研究の中でものすごく大きいのです。いつ作ったかが分かるから。

 そうすると、分かってくるのです。この地域の郡司たちはこれくらいの瓦を焼いて納めた。(別の)この地域の郡司たちは、これくらいの瓦を焼いて納めた。というようなことが分かると、(どうなるか)。国守は頼む側です。「お願いしますよ」と頼む側なのです。在地の郡司と(その地域の人たちに)。しかも、その郡司さんたちに納得して出してもらわなければいけないわけです、いろんな物品を、(そして)資金を。

 そうすると、そこが重要だと思うのですけれども、その郡司さんたちに「仏教というものはこんなに素晴らしいものでございますよ」「平城京においては、聖武天皇さまもこれだけ仏教に帰依しておられます。こういうような写経と言いまして、お経を写す事業が行われておりますよ。そして、中央にはこんな大きなお寺があるのでございます。しかし、地域地域に仏塔を建て、お寺を造っていかなければ、日本国に仏教が広まったとは言えません。したがって、皆さん一人ひとりが仏者となって、在家の信者となって、そして仏教を信仰していただき、かつ、大変申し訳ないことなのですが、瓦を拠出していただけませんでしょうか、資金を拠出していただけませんでしょうか」というようなことがあるわけです。

 私は、これから神社でもお寺でも...

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