良き対話を実現するために鍵となるのは「問い方」である。例えば「あなたはどう思うか」と漠然と聞くのではなく、ソクラテスの手法のようにYESかNOで選択を迫り、一つひとつ互いの考えを確認しながら進めるほうがいいと納富氏は言う。また、相手を自分の意図する方向へ引っ張る誘導尋問のような問い方は、相手の主体性を削いでしまうため注意が必要だ。本当の聞き手とは、相手の言葉をしっかりと引き出して、その内容を理解した上で自分の意見をぶつける存在である。第2話では、良き対話をするための「問い方」の技法を学ぶ。(全8話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●問い方の技法――選択を迫る問い方のほうがいい
―― 「対話とは何か」ということでお話を聞いてまいりましたが、いよいよ良い対話にする、良い対話になるためにはどういうことが必要なのかというところです。
前回のお話では、(対話について)「これではない」「あれではない」ということで、だいぶイメージが浮かび上がってきたと思います。「自分が良い方向に変わる」「自分がといっても相手と一緒に良い方向に変わっていく」ということですね。そのためにどうしておけばいいかということなのですけれど、まず前回の話にもあったように、一方向(性)ではなく、双方向(性)であるということ。
あと、この本(『対話の技法』)を読んですごく印象的だったのは問い方です。例えばAというテーマに対して、「あなたはどう思いますか」ではなくて、「YESですか、NOですか」となるべく選択を迫るような聞き方(問い方)がいいということなのですね。これは案外難しいですよね。
納富 はい。「YESかNOかで答えさせる」という問い方は、実はソクラテスがやっているやり方なのです。「あなたはどうお考えですか」という問いが最初にくるのは構わないのですが、それだけだと人の考えを聞いているだけになってしまう。しかも、それは、テーマというよりは、あちらに行ったりこちらに行ったりすることがあると思うのです。そういうときに、「あなたの考えていることって、こういうことですか」とか、「あなた、これについて、どっちだと思いますか」ということを「なんとかですか」という形で、YES・NO、ないしはそういう形で聞いていくと、お互いにきちんと理解していくわけです。
対話の場合、特に哲学的なテーマで対話する場合は、曖昧さとか、あるいは(そのテーマから)すり抜けてしまったりということをなるべく避けるために、少し厳しいかもしれないけれど、一つひとつ相手の考えとか、あるいは自分の考えを確かめながらお互いに進んでいく。そうしないと、終わってから「途中でズレてたよね」とか、あるいは下手したら全然違うことをお互いにしゃべっていたということもあり得るので、それをするための一つの手段というかメソッドとして、「これについては、こう思いますか」とか、あるいは「こうなんですね」といった言い方、あるいは「今こんな言葉を使われたけれど、それはどういう意味なんですかね」というような...