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米国の高校生は選挙の前に「恵むべきか否か」を自問する

日本政治の俗説に反論する(2)対立軸はできないのか

星浩
TBSスペシャルコメンテーター
概要・テキスト
「どこの政党も同じ」という諦めも日本政治の俗説。対立軸の構築は政治家の責任であり、メディアと有権者はその明確化を迫るべきではないか。常に論争機軸が明快な米国の議論を通じて、日本政治の課題を照射していく。
時間:11:23
収録日:2014/02/14
追加日:2014/03/06
カテゴリー:
≪全文≫

●「どこの政党も同じ」という日本政治の俗説

〈前回に〉続いての日本政治の俗説に、「どこの政党も同じではないか」というものがあります。どの政党の言うこともあまり大差はない。政党の理念も政策の対立もあまりないので、与野党対立軸などなく、どこの政党に任せてもあまり変わりはないという議論です。
問題は、対立軸を作ろうともしない、作ることもできない政党・政治家のところにあるのですが、「今の制度や政治では、対立軸など起きようがない」という諦めを起こすのもやや俗説に過ぎていて、まだまだよくないのではないかと感じています。そこで、「対立軸」は作ろうと思えばいくらでもあり得るということを、今日はお話ししてみようと思うのです。
よく「保守とリベラル」と言ったり、「小さい政府と大きい政府」「平和主義と国際貢献主義」というような議論があります。特に二大政党ができてくる中では、政治には対立軸があり得ますし、政治家はそれを作っていく責任があると思います。

●ワシントンの高校生は「恵むべきか否か」の問題を自問する

その例として、私がワシントン駐在だった2年間に出会った議論をいくつか挙げたいと思います。最初は、アメリカの高校生の授業を参観したときの先生の話です。アメリカでは18歳から選挙権があります。そこで先生は、17、8歳の高校生に向けて「あなた方もそろそろ選挙権を手にする。ついては、アメリカは共和党か民主党かの二大政党制なのだから、いずれはそのどちらかを選択しなくてはいけないのだ」と話します。では、「共和党と民主党の違いは一体何か」という話になり、先生はこういう喩えをするのです。
道端で、ある人が行き倒れになっている。その人に対して、「可哀想だから、パンとミルクを恵んであげよう」と思う人、とりあえずそれで少ししのいで、頑張ってもらおうと考える人は、「民主党を支持しなさい」と。一方で、そういう人を助けると、世の中のモラルが低下するから、あまり助けてはいけない。もうその人には自立自助でやってもらうしかない。「世の中のモラルを維持するためにも助けてはいけない」と思う人は、「共和党を支持しなさい」と言うのです。
これはアメリカの典型的な発想です。可哀想な人にはとりあえず手を差し伸べましょう。国や行政の力で社会福祉をなんとかしましょう。そこから先はまた考えるとして、とりあえず助けましょうとい...
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