狡猾国家イエメンの現状
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
狡猾国家イエメンを育てたサウジアラビア、イランとの関係
狡猾国家イエメンの現状(2)サウジとイランの代理戦争
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
今日のイエメン危機をつくっている政治パターンには、二つの面が機能していると歴史学者・山内昌之氏は言う。そこには、複雑に絡み合うサウジアラビアとイランの対立構造がある。両国との関係を中心に、狡猾国家イエメンが置かれた現状について山内氏が語る。(後編)
時間:13分10秒
収録日:2015年6月9日
追加日:2015年7月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●エリートたちは権力保持のため敵とも組む


 皆さん、こんにちは。

 現在のイエメンが置かれた環境につきまして、これは、前回に紹介しました狡猾国家(Cunning State)ともいうべき非常に特異な破綻国家のダイナミズムの所産であるということを、今日は少し触れてみたいと思います。

 イエメンは石油もそれなりに持っていますが、その資源を枯渇させ、そして、社会を分裂させて、国を崩壊の淵に追いやった、その政治パターンは、もつれた蜘蛛の巣のように、まさに今日のイエメン危機をつくっている、込み入った関係と複雑に結び付いています。この蜘蛛の巣状のもつれた関係は、二つの面において機能しています。

 第一には、国民国家というレベルでの問題です。すなわち、国民国家イエメンという限られた部分におきまして、エリートたちは、競争し合いながら、自分たちの狭い利益を追求する分派の間での内戦に明け暮れているわけです。いずれの勢力も、本来であれば競合、あるいは対立し合う地域や宗派、イスラム主義者と同盟することを厭いません。なぜでしょうか。

 それは、目的がひたすら自分たちの権力保持にあるわけですから、そのときに最適合な相手と組むのです。それが昨日までの敵であったとしても、今日、あるいは明日味方になる。つまり、自分たちの権力の維持に都合が良ければ組むということなのです。


●サウジアラビアとイランの対立が内戦と関係


 第二には、より大きな地域というレベルでの問題です。イエメンの内戦は、サウジアラビアというスンナ派の大国と、シーア派の大国であるイランとの地域的な競合や対立が深まることと関係しています。すなわち、スンナ派対シーア派という宗派的な対立、あるいはアラブ対ペルシャという民族的なライバルといった関係性のあやによって助けられている反面、本来サウジアラビアとイランとの対立は、地政学的な要素を持っていたのです。

 この問題でどの参加者もまた、宗派や民族間の紛争のどちらか一方を支持することによって、地域において代理戦争が生じたわけです。そして、この代理戦争の中で、いま一番活発でありながら日本の視野からはずれている地域がイエメンなのです。


●狡猾国家イエメンを育てたサウジアラビア


 サウジアラビアは、歴史の上で伝統的にイエメンの“Cunning State”(狡猾国家)としての...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(4)アレクサンドル・ネフスキーの英雄化
ロシアの英雄「アレクサンドル・ネフスキー」はなぜ英雄か…ドイツ騎士団と戦った歴史がどう利用されたか
上月豊久
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
今後の技術革新と企業経営(6)仮想通貨とフィンテック
仮想通貨が本当の「通貨」にならない理由
柳川範之
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博