トルコとイランの関係
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
クルド対応に見るトルコとイランの対立構造
トルコとイランの関係(2)緊張関係と今後のシナリオ
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
シリアにおける内戦の激化とイラクからのアメリカ軍の撤退によって、トルコとイランの間に横たわる伝統的な競合関係が復活したと歴史学者・山内昌之氏は語る。しかし、両国はスンナ派対シーア派の宗派対立にコミットするだけでなく、シリアのアサド政権や、クルド人地域政府との関係などを介した緊張関係もつくり出している。中東地域情勢の鍵を握るトルコとイランの関係について山内氏が解説する。(後編)
時間:13分26秒
収録日:2015年6月9日
追加日:2015年7月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●トルコとイランの競合関係が復活


 皆さん、こんにちは。今日は、引き続きトルコとイランとの関係について触れてみたいと思います。

 シリアにおいて生じた内戦が激化したこと、それから2011年にアメリカ軍がイラクを撤退したことは、イランとトルコとの間に、この地域をめぐる伝統的で歴史的な競合、競争というものを復活させることになりました。シリアとイラクにおいて溝を広げているシーア派対スンナ派の宗派対立については、以前セクタリアンクレンジング(宗派浄化)という非常に厳しい言葉を紹介したと思いますが、そうした対立を繰り広げている陣営に、それぞれトルコとイランがコミットしたからです。

 トルコは、シリアにおけるムスリム同胞団、自由シリア軍、あるいはアヤド・アラウィ氏に統率されたスンナ派のイラク運動を擁護し、明白に反アサド政権のスタンスを打ち出します。イランは、アサド政権を擁護するという姿勢に変わりがなく、イラクのシーア派の諸政党や政権への支持を譲りません。


●クルド対応に見るトルコとイランの対立構造

 
 双方のこういうライバル関係は、クルド人の領土においても進行しました。トルコは、共和国国内最大のクルド民族主義組織であるクルディスタン労働者党(PKK)と平和構築に努めており、北イラクのクルド地域政府(KRG)とも、外交や通商の絆を強化しています。アンカラ政府は、北イラクのクルド支配地域、すなわちKRGの首都ともいうべきエルビル(アルビール)に総領事を開きまして、KRGとの関係を正常化しています。

 このことは、KRGという内陸国家、すなわちどこかの国を経由しないと海に出ていけないというblocked(閉鎖)されている国家であるKRGが、トルコ経由でインドや中国、イスラエルといった顧客に石油を輸出するルートをつくることを可能にしました。KRGは内陸国である以上、どこかを同盟者、あるいは友好国とせざるを得ません。その中で、トルコという国がパートナーとして選ばれたことになります。

 アンカラが、このKRGに対して利かせるてこ(レバレッジ)は何かと申しますと、これは、イラクの首都バグダッドにあるシーア派政権との関係において均衡を取ろうとすることでありました。イラク(バグダッド)の中央政権は、シーア派そのものだといってよろしいわけです。すなわちイランに支援されたそ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
徳川将軍と江戸幕府~家慶と烈公斉昭(1)12代将軍・徳川家慶とはいかなる人物か
アヘン戦争はじめ内憂外患…第12代将軍・徳川家慶の時代
山内昌之
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博