トルコとイランの関係
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トルコ与党弱体化の背景にはイランとの関係がある?
トルコとイランの関係(1)イラン革命から21世紀へ
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
トルコとイラン。いずれも西洋と東洋の間に位置して、古代より長い歴史を育んできた国だ。両国間の関係が言及されることは少ないが、互いの内政や国際情勢に及ぼす影響は大きいと、歴史学者・山内昌之氏は考察する。今回は主にイラン革命以来、バランスと対立を繰り返してきた両国の力関係について検証していく。(前編)
時間:9分56秒
収録日:2015年6月9日
追加日:2015年7月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●トルコ与党弱体化の背景にイランとの関係あり


 皆さん、こんにちは。

 トルコにおいて今月(2015年6月)、総選挙が行われました。その結果、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領の与党AKP(公正発展党)は、議会における圧倒的多数派の地位を得ることに失敗しました。このことにより、エルドアン氏が意図していた大統領権限の強化、すなわち憲法改正によってトルコ共和国大統領をロシアやフランス、アメリカ並みの強い権力者に変えていこうとするもくろみは、遠のいたかに見えます。

 今日は、こういったことの背景にある重要な国際関係の一つとして、あまり語られていない要素ですが、イランとトルコとの関係について少し語ってみたいと思います。


●バランスと対立を繰り返してきた両国の歴史と現状


 トルコとイランはそれぞれ、オスマン帝国やサファヴィー朝の継承者であることを自負し、絶えずバランスを取りながら中東の権力を埋めようとしてきました。

 最近のイエメン紛争においても双方は対立しています。テヘラン(イラン)は、急成長しているシーア派の一派であるザイド派のホーシー集団を支援していますが、アンカラ(トルコ)は、サウジアラビアと同じスンナ派のアラブ人たちとコアリション(提携)を組み、現在のアブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領を支援しているわけです。

 こうした現実に照らして、この3月にエルドアン大統領は、「中東地域をイランがコントロールしようとしている。非常に不法に統御しようとする企てであり、我慢がならない」と公言しました。それに反発したイランの国会議員65人が、トルコ大統領の「不注意な声明」に照らしてハッサン・ローハニ大統領に、4月に予定されていたエルドアン大統領のイラン訪問を拒否すべきだと要求しました(結果としては、この訪問は実現しました)。


●イラン革命以来、両国は緊張した関係に


 1937年のサーダーバード条約から1979年のルーホッラー・ホメイニーによる革命に至るまで、二つの国は友好関係を維持してきました。しかし、ホメイニーの「シーア派革命の輸出」というものの考え方は、世俗主義のトルコとの間に水と油の関係がありました。

 トルコでは1980年に事実上の軍事クーデターが起きます。世俗主義の守護神を自負するトルコ国防軍は、イランのイスラム共和国を世俗主義...

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