書物で学ぶギリシャ危機
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
歴史家ヘロドトスの名言にみるギリシャ財政金融危機
書物で学ぶギリシャ危機(1)自ら招いたギリシャの悲劇
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
世界の金融市場を揺るがしているギリシャの経済危機を、歴史学者・山内昌之氏が歴史家の視点を交えて解説する。EUが巨額の金融支援をするにもかかわらず、それは抜本的解決にはならないほどギリシャの債務は膨れ上がっている。ここまで事態を悪化させた原因とは? 世界を巻き込んだ金融問題についてギリシャが誇る賢人の名言をもとに学ぶ。(全3話中第1話目)
時間:11分16秒
収録日:2015年7月16日
追加日:2015年8月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●ギリシャ式説得の極意は「一人より大勢」


 皆さん、こんにちは。今日は、ギリシャの財政金融危機の問題について、少しこれまで語られていることとは別な観点から、いくつか振り返ってみたいと思います。

 古代ギリシャの生んだ歴史家で、高校世界史などでは歴史の父と呼ばれているヘロドトスは、その名著におきまして、「一人の人間を説得するよりも、一度に大勢の人間を説得する方が簡単である」と述べ、いくつかの実例を挙げたことがあります。

 さながら、現在のギリシャ政府のアレクシス・チプラス首相は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相一人を相手にするよりも、ややくみしやすしと見たフランスのフランソワ・オランド大統領、ひいてはユーロ圏首脳全体を相手にしてとりまとめる方が簡単だと考えたのかもしれません。また、自らの政策になかなか肯(がえ)んじようとしなかったヤニス・バルファキス前財務大臣一人だけを相手にするよりも、自分に賛成してくれるむしろ野党を含めたギリシャ国会を相手にする方がたやすいと、かねてから踏んでいたのかもしれません。


●巨額支援や元本削減でも抜本的解決は困難


 いずれにしましても、ギリシャ国会は本日(2015年7月16日)に、EU(ヨーロッパ連合)からの金融支援を受けるための財政改革法案を採決しました。これによってEUは、ギリシャの大手銀行に対して、最大でおよそ250億ユーロ、現換算によれば、約3兆4000億円の資本を注入するものと見られています。もちろんこの最終的な額は、今後のギリシャの約束、履行、その他に関わるものとして確定されますが、いずれにしても最大で250、もしくは260億ユーロと見込まれているということは間違いありません。これによって、ギリシャは当面のデフォルトを回避しまして、銀行の休業や資本規制による一般国民、一般の預金者の痛みを、ひとまず避けられる見通しになりました。

 しかしながら、チプラス首相によるメルケルやオランド両首脳との駆け引きや、それから、この間のせずもがなというところもある国民投票によって、この2週間、急速にギリシャ経済や金融の状況が痛みを増しています。こうした悪化した財政危機や経済困難を抜本的に解決し、そこから抜け出す手はずは、なかなか見出すのは難しいというのが現状であります。

 可能なのは、そして望ましいのは、IMF(国際通貨...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
歌舞伎はスゴイ(3)歌舞伎のサバイバル術(前編)
草創期からの度重なる「規制」と「スキャンダル」を超えて
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
健診結果から考える健康管理・新5カ条(6)メタボを侮ってはいけない
メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない
野口緑
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典