テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.03.04

間違えるとどうなる?レギュラーとハイオクの違い

 最近ではセルフ式ガソリンスタンドが主流となっています。日本のガソリンスタンドで給油できる燃料の種類には、レギュラー、ハイオク、軽油の3つがあります。エンジンの種類によって、どれを入れるか決まっています。間違った種類を入れてしまう理由について、「軽自動車だから軽油だと思った」という理由は結構多いようです。もちろんこれは間違いです。ではもし間違って給油してしまった場合、どうなるのでしょうか。今回はこのあたりのことを見てみましょう。

レギュラー、ハイオク、軽油の違い

 レギュラー、ハイオク、軽油は何が違うのでしょうか。まず、レギュラーとハイオクは、オクタン価と呼ばれる数値で区別されます。オクタン価が高いほど着火しにくいガソリンであることを示し、このオクタン価が96以上のガソリンがハイオクとされ、89以上のものがレギュラーとされています。

 着火しやすいガソリンだと、ガソリンが勝手に着火と爆発を起こすことでエンジンが損傷することがあります。このとき金属をノックしているような音が鳴ることから、この現象を、ノッキングといいます。オクタン価が高い(着火しにくい)ガソリンであるハイオクであれば、ノッキングを防ぎやすくなります。

 軽油に関して言えば、ガソリンが常温常圧でよく燃えるのに対して、軽油は高圧力・高温で燃焼がしやすくなります。こういった特性から、ガソリンエンジンでは空気とガソリンを混ぜて圧縮したものに点火するのに対して、ディーゼルエンジン(軽油を使用するエンジン)は空気だけを圧縮し、高温に達した時に軽油を噴射して着火させます。このように、仕組みとしてガソリンエンジンと軽油を燃料とするディーゼルエンジンは大きく異なっています。ディーゼルエンジンは高出力ということもあり、主にバスやトラックなどの大型車に使用されることが多いようです。

レギュラーとハイオクを間違えてもとりあえずは問題ない

 では、指定されたもの以外の燃料を入れてしまった場合、どうなるのでしょうか。まずはレギュラー車にハイオクを入れた場合。よりオクタン価の高いガソリンを入れるので性能が上がるのか、と思いきや、レギュラー車のエンジンはオクタン価の低いレギュラーガソリンを前提として設計されており、ノッキングを防ぐ効果はあまり期待できないとのこと。高いガソリンを入れれば性能があがるというわけではないようです。

 続いてハイオク車にレギュラーを入れた場合。エンジンはピストンの上げ下げを行う際、オクタン価に基づいてもっともエネルギー効率のよいタイミングで燃焼するように設計されています。この点で、オクタン価の異なる(着火タイミングの異なる)ガソリンを使えば、効率が悪くなることは言うまでもありません。もちろんノッキングが起こりやすくなり、エンジンを傷める可能性は高まります。また、本来の馬力が発揮できなかったり、燃費が悪くなったりして、単価の高いハイオクを入れるよりも結果的に高くつくこともあるようです。

 こういった問題はありますが、レギュラーとハイオクを間違えても、すぐにエンジンが壊れるといった大きな問題は起こりません。ただし、「ハイオク専用」の指定のあるクルマの場合は注意が必要です。レギュラーを給油するとエンジンの破損や車両火災につながる恐れがあるとのことです。

ガソリン車に軽油を入れてしまったら

 軽油車に関しては、先の通り、エンジンの仕様がやや異なります。このため、軽油を使うディーゼル車にガソリンを入れてしまうと問題がおきます。異音とともに白い排気ガス出て、そのまま運転を続けるとエンジンが停止するといったこともあるようです。こうなると安全性の問題とともに、修理に多額の費用がかかることになり、ともすれば廃車のリスクを背負うことになります。

 給油してすぐに気づいた場合、少量であればガソリンを追加で満タンにして薄めることでなんとかなることもあるようです。もし、軽油をかなりの量、もしくは満タンにしてしまった場合、軽油を抜く必要があります。この作業は自分ではできないので、JAFなどを呼びましょう。また、もし走り出してから気が付いたら、すぐに停車してロードサービスにレッカー移動してもらう必要があります。

 給油口の内側、または蓋やキャップに指定燃料は記載されています。初めて乗る車などは必ず確認しましょう。また、セルフ式のスタンドにも必ずスタッフが常駐しています。わからない場合は事前に助けを請うことも大事です。

<参考サイト>
・ハイオクとレギュラーの違い(オクタン価・値段)|チューリッヒ https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-high-octane-gasoline/
・クルマの構造・メカニズム|JAF
http://qa.jaf.or.jp/mechanism/structure/13.htm
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授