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5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
概要・テキスト
第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のようなアプリケーションはさらに進化していくだろう。(全9話中第1話)
時間:09:50
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
タグ:
≪全文≫

●5Gのモバイルネットワークフォーラム


 東京大学教授の中尾彰宏です。本日は「5Gとローカル5Gの概要」というテーマでお話させていただきます。

 私は現在、東京大学大学院情報学環の副学環長で、東京大学総長補佐をしております。日本には現在、第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)というものがあるのですが、私はそこでネットワーク委員会の委員長も務めています。そこで今回は、5G(第5世代移動通信システム)のネットワークアーキテクチュアを全般的に見ている立場から、皆さんに5Gの概要と、最後の方ではローカル5Gの概要についてお話をしたいと思います。

 その他にも肩書きはいくつもあるのですが、総務省関係の、主に情報通信の政策に関わっていますので、そうした立場からも少しお話しします。

 それでは最初に、世界で進む5Gモバイルネットワークの研究開発についてお話しします。このスライドは、各国で展開されている、5Gのモバイルネットワークの推進活動(フォーラム)の一覧です。実は日本は後進的で、この5GMFというフォーラムが最後に確立されました。これは2014年のことです。欧州や韓国、中国、アメリカでは5Gを大体2010年前後くらいから推進してきたのですが、その後ようやく、わが国も5GMFをつくりました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて商業化をするべく、オールジャパンの態勢でこのフォーラムを使い、推進してきました。

 5GMFの組織図は、このようになっています。総会では京都大学名誉教授の吉田進先生が会長を務めており、その下にいくつかの委員会があります。私はその中で、ネットワーク委員会の委員長を仰せつかっています。企画委員会、技術委員会、アプリケーション委員会などがあり、最近ではこれらに加えて、シリーズの後半でお話しするローカル5Gにも関わる地域利用推進委員会も設立されました。この他にも、セキュリティ調査研究委員会が設立されています。

 わが国において、5Gはこうした体制によって取り組まれているのですが、さらにこのフォーラムには、100社弱の企業が参加されています。その他にも、学術会員や先生方も入っており、全てを併せると150名程度の組織で進めています。


●2021年には、全世...

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