5Gとローカル5G
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「自営網」によって通信サービス提供者が多様化する時代へ
5Gとローカル5G(8)今後のICT産業社会の構造改革
科学と技術
中尾彰宏(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
今後、ICT産業社会は大きな構造変革を迎えていく。2030年に向けて、5Gをはじめ多様な情報通信技術が進化していくが、5Gでは、大容量・超低遅延・超多数接続という最新の移動通信技術が実現すると同時に、情報通信の民主化が進んでいく。情報通信の民主化は、「自営網」という言葉があるように5Gの技術をローカル5Gとして自ら営んでいくことで、「自営網」技術によって、通信サービス提供者がさらに多様化していく時代がやってくるだろうと中尾彰宏氏は語る。(全9話中第8話)
時間:6分44秒
収録日:2019年12月4日
追加日:2020年1月20日
≪全文≫

●日本初の産学協同「ローカル5Gオープンラボ」の設立


 少し宣伝になってしまいますが、東京大学の私のラボとNTT東日本が、日本初の産学協同で、ローカル5Gオープンラボの設立を決めました。

 ローカル5Gは、誰でも免許が取得でき、誰でも5Gの環境を構築できるのですが、資金調達や技術的な面で、まだ敷居が高い状況です。NTT東日本さんとわれわれが共同研究で進め、一般の方にもお知らせし、実際に使って頂くことで、ますますこのローカル5Gの普及を促進することを目指しています。


●現在、ICT産業社会は大きな構造変革を迎えている


 前回お話しした「情報通信の民主化」という動きがあったように、現在ではICTの産業社会というのは大きな構造変革を迎えていると考えています。例えば、これは総務省の「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」という活動なのですが、これには私も関わっています。その中間報告書では、今後の電気通信事業者以外の役割拡大や、基幹的なサービスに関わる主体の多様化が想定されています。ローカル5Gはそうした主体の多様化の1つです。

 今後は、自らの手で用途にあった通信を、自分たちの手で作り上げていく時代が来ると言われているのです。電気通信事業者に任せていた通信の提供は、あらゆる分野の企業(いわゆる「バーティカル」)が、自分たちの手で利用していくようになっていきます。ICT産業社会では、こうした構造変革が起ころうとしているのです。5Gの時代にはそれが顕在化しており、その結果として、ローカル5Gが政策に反映されたということです。

 こうした、5Gを中心とした今後の産業社会の構造変革は、何を意味するのでしょうか。私見によれば、特に企業さんにとっては、通信と端末という単純な構造で情報通信が理解できる時代が終焉するでしょう。通信とあらゆる分野(バーティカル)の融合が起こっており、通信はバーティカルの人を経て、作っていくものになりつつあります。

 このグラフでいうと、これまで4Gの主な対象となっていた領域は、移動通信や携帯電話のサービスでした。それに対してこれからは、収益性は悪くなるかもしれませんが、今後は各自動車分野、産業機器分野、ホームセキュリティ・スマ...

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