5Gとローカル5G
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本はなぜ5G実現に向けた取り組みが世界の中で遅いのか
5Gとローカル5G(3)5G実現に向けた各国の試み
中尾彰宏(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
世界各国で5G実現に向けた取り組みが進んでいるが、日本はその中で導入が比較的遅れているという。2020年の東京オリンピックに向けて、さまざまなアプリケーションに関する実証経験によって、慎重に検討が重ねられているからである。(全9話中第3話)
時間:8分35秒
収録日:2019年11月20日
追加日:2019年12月16日
≪全文≫

●世界各国の5Gの取り組み


 5G実現に向けた、日米中韓欧の取り組み状況について、少し紹介します。

 実はここでも、日本は一番最後のサービスインを予定しています。これについてはいろいろな議論があるのですが、後でお話しする通り、日本では、慎重に準備を進めているためです。特に一番インパクトの大きい東京オリンピック・パラリンピック競技大会の前に、商用化を完了することを目標として、政策が進められています。

 前回、周波数のお話をしましたが、米国・中国・韓国・欧州では、非常に似通った帯域を含んだ周波数を利用することが予定されています。これは、世界各国で周波数をそろえることによって共通の端末を使うという目的があるからです。しかし、よく見ると、各国で少しずつ周波数は違っていることが分かります。


●日本は2020年の導入に向け、慎重に検証を重ねている


 また、サービスの開始時期でいうと、米国は2019年4月から本格展開が始まっています。最初は固定系といって、端末が移動しない、固定した場所でなされる通信が2018年10月から、一部の都市で進みました。その後、2019年4月には、スマホ向けのサービスを開始しています。

 中国は、2019年度中から順次展開するということになっています。それに対して韓国は、実は非常に動きが速く、2018年12月にプレサービスの運用をしています。2019年4月に、SK Telecomm、KT、LGU+の3社によって、スマホを含めた本格展開がなされました。これを合算すると、2019年6月現在で、100万人が5Gを使っていることになります。欧州は、国によってだいぶ違うのですが、スイスでは2019年4月から、英国では2019年5月、イタリア、スペインでは2019年6月から順次展開ということになっています。

 こうした横並びで見ると、日本は一番最後なのですが、これには実は理由があります。日本ではこれまで、5Gがどのように使われるのか、あるいはどのような使い方があるのか、つまりアプリケーションは何なのかということを、実証実験によって慎重に検討してきました。本格展開が最後なのは、こうした検討の結果であるということです。


●ホロポーテーションという新しい技術


 先ほど、eMBB、URLLC、mMTCという3つの代表的な通信クラスを紹介しました。これらが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治