●5Gにおける無線通信の変革
それでは次に、5Gになると、容量や通信の品質などについて、無線通信はどのように変革されるのかを見ていきましょう。
「ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)」と呼ばれる国際機関によれば、大きく分けると、5つの特徴が挙げられます。それを示すのが、無線通信のKPIです。KPIとは、Key Performance Indicatorの略であり、通信の要件となる目標値のことです。
5GにおけるKPIのうち、特徴的なものを挙げると、まずピークデータ帯域が、約25Gbpsであるというものがあります。これはピークについての目標値で、全体のユーザーが使っている帯域では、25Gbpsぐらいは出るだろうということです。次に、1人1人のユーザーの体感でいいますと、だいたい100Mbpsです。つまり、1秒間に100×10の6乗ビットが流れるということです。この100Mbpsという数字がどのような容量を表しているかについては、後でまたアプリケーションを使ってお話しします。
次に、移動体の速度についてです。5Gはリニア新幹線の中でも使え、時速500キロメーターで移動するものの中でも使えます。さらに、遅延についてです。つまり「どれくらいの時間をかけてデータが端末に届くか」という点では関していうと、KPIは低遅延で無線区間が1ms(ミリセック)、つまり1000分の1秒でデータが届くという目標値になっています。
最後に、単位面積当たりの接続数でいうと、1平方キロメートルあたりで100万デバイスがつながるとされています。これは単位が大きすぎて想像がしづらいのですが、端末というより、たくさんのセンサーをイメージしたほうが良いでしょう。皆さんお持ちの携帯というより、例えば、環境をモニタリングするセンサーが1平方キロメートルあたり100万デバイスあったとしても、通信をきちんとし、行えるようになるということです。これが5Gの、目標としての特徴です。
●ネットワーク要件に関する3つの代表的な通信クラス
それでは次に、今ご紹介したKPIを、われわれはどうやって使っていくかというお話をします。その際にはまず、「ネットワーク要件」が重要です。これはネットワークに対して、アプリケーションが必要とする条件を指しています。これによって、今お話ししたKPIを少しブレイクダウンされます。...