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DATE/ 2021.03.22

なぜ低気圧で頭痛が起きるのか?

 気圧が低いと頭が痛くなってしまう、そんな悩みを抱えている人も多いですよね。気圧の変化によって体に影響を及ぼすものは気象病と呼ばれ、日本でも1000万人以上の人が気象病に悩んでいるともいわれています。気象病の症状には人によって異なり、頭痛や吐き気、めまい、ぜんそく、関節痛などさまざまなものがありますが、今回はその中でも特に症状を訴える人が多い頭痛について取り上げてみましょう。

なぜ頭が痛くなるのか

 頭痛は気圧の変化によって自律神経に影響を及ぼすことが原因だといわれています。自律神経は、心拍数をあげて体を興奮させる働きの交感神経と、血管を広げてリラックスさせる働きの副交感神経のバランスを司る役割を担っています。しかし、気圧の変化によって自律神経の働きが乱れると、そのバランスがうまく調整できなくなってしまうのです。その結果、交感神経が刺激されて脳の血管が拡張してしまうことで、ずきずきとした頭痛を引き起こしてしまう、というのがメカニズムだといわれています。

どんな人がなりやすいのか

 一説には、耳が敏感な人がなりやすいという説があります。耳といっても、聴覚ではなく耳の一番奥にある器官である内耳のこと。内耳が敏感な人は揺れにも反応しやすく乗り物酔いをしやすい傾向にあるので、乗り物酔いしやすい人は気象病にもなりやすいと言い換えることもできます。

 内耳は平衡感覚を保つ役割も担っていますが、気圧の変化を察知するセンサーも備わっていると考えられています。内耳で察知した情報は脳に送られますが、内耳が敏感な人は多少の気圧の変化でも過剰に脳へ情報を伝えてしまい、自律神経を過剰に活性化させてしまうといわれているのです。

頭痛を引き起こさないためにできること

 頭痛を起こさないためには自律神経を整えることが大切です。そのためには、ストレスをためこまないこと、規則正しい生活を送ることが基本となります。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスを司ることはすでに紹介しましたが、リラックスモードの副交感神経、アクティブモードの交感神経のオンオフを意識するのがポイントです。

 朝起きたとき私たちの体はリラックスモードになっているので、朝食は必ず食べる、日光を浴びるなど、アクティブモードのスイッチを入れる習慣をつけましょう。逆に夜は湯船にゆっくりつかる、就寝前のスマホはなるべく控えるなど体がリラックスモードになるようにするのが良いでしょう。

 また、耳の血流が悪いと内耳にも悪影響を及ぼし、頭痛が悪化する原因になることがあります。耳をひっぱったり回したりするマッサージを行うことで症状を軽減することもできますので、頭痛に悩む人は試してみるのもオススメです。

症状がひどいときには医療機関へ

 気圧の変化によって引き起こされる気象病は珍しいものではなく、今や誰がなってもおかしくないほど当たり前のものになってきています。気象病は頭痛の他にもさまざまな症状を引き起こしますが、ときにはめまいや吐き気を引き起こすなど日常生活に支障を及ぼすことも。その場合は我慢せずに頭痛外来や脳神経外科にかかるようにしましょう。

<参考サイト>
・ここまでわかった片頭痛の発生メカニズム、低気圧とうまく付き合う方法|住友林業のリフォーム
https://www.sumirin-ht.co.jp/oyakudachi/body/005263.html
・「低気圧」で体調不良を起こしやすい人の特徴|東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/-/165183
・自律神経を整えるライフスタイルとはどういうもの?|ルネサンス
https://www.s-re.jp/magazine/health/22/

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