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日本で効果的なガバナンスをつくるのは無理なのか?

日本 呪縛の構図(6)質疑応答編(英語版)

R・ターガート・マーフィー
筑波大学名誉教授
情報・テキスト
日本で効果的なガバナンスをつくるのは、実際問題として無理ではないか。なぜ日本は毎年大量の米国債を買い続けているのか。会場からの質問に、筑波大学名誉教授R・ターガート・マーフィー氏が丁寧に答える。(2016年12月6日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「日本 呪縛の構図~この国の過去、現在、そして未来」より、全6話中第6話、英語版)
時間:04:00
収録日:2016/12/07
追加日:2017/03/09
≪全文≫

●日本で効果的なガバナンスの仕組みをつくるのは不可能ではないか


質問1:日本でガバナンスのメカニズムをつくるのは、事実上無理ではないか。それが唯一機能したのは、天皇による終戦の決断くらいではないか。

Yes. I agree that the monarchy can really help in creating kind of governance. And I think some of the discussion about changing the law to permit the abdication of the emperor is an indication of that. But the other thing that I think really is important is institutionally strengthening the kantei.

 確かに君主制がガバナンスを生み出すのに役立つという点は、私も同意します。また生前退位ができるような法律をつくるかどうかの議論は、その現れの一つだと思います。ただ同時に重要だと思うのは、官邸をガバナンスの組織として強化することです。

Yes, yes. When I was just - parenthetically, I saw an interesting comment that Winston Churchill made. And he said that, if the United States at the Versailles treaty, Versailles, the negotiations that led to the Versailles treaty at the end of World War I, if the United States had not insisted on the end of the Hohenzollern and Habsburg dynasties, the monarchies in Germany and Austria, and turning those two countries into republics, Churchill said, we would never have had the Second World War, so.

 ついでに言うと、ウィンストン・チャーチルはかつて興味深いことを言っていました。もしアメリカが、第一次世界大戦の講和条約であるヴェルサイユ条約の締結時に、ドイツとオーストリアの王族であるホーエンツォレルン家とハプスブルク家の断絶を主張しなかったら(実際は両国とも共和政になるのですが)、第二次世界大戦は起こらなかっただろう、と。それだけ君主制には意味があったかもしれない、ということです。

Because you look at the situation in the U.S. today in contrast the situation in Japan or in Britain, where the monarchy is genuinely loved by practically everybody that half of the U.S. hates its president.

 実際、多くの国民に愛されている日本やイギリスの君主制と比較すれば、今日のアメリカ大統領は、半分の国民に嫌われていることになりますから。

Yes. The problem if you contrast the institutional office of the Japanese prime minister, if you contrast that to say prime ministerships in Britain or Germany or the presidencies in the U.S. and China and Russia, it is institutionally quite weak. Now there have been strong prime ministers in modern Japanese history, example of Yoshida or Nakasone or Koizumi or indeed Abe, who are able because of their strength of character to stand up to the institutional weakness of the office. But it is quite imaginable in the future that we are going to have some weak prime ministers again, as they have been in long Japanese history.

 そこで考えると、アメリカや中国、ロシアの大統領制や、イギリスまたはドイツの内閣制と日本の内閣制を比べた場合、日本の官邸は組織としてとても弱いことが問題です。近代日本を振り返ると、吉田茂氏や中曽根康弘氏、小泉純一郎氏や安倍晋三首相など、官邸の弱さをカバーするだけの強い指導力を持った首相は存在しました。しかし今後また、指導力に欠ける首相が政権を握ることは十分考えられますし、日本の歴史上はそういうことが長く続いてきました。だから官邸の組織的な強化が必要なのです。


●なぜ日本は大量の米国債を毎年買い続けているのか


質問2:日本は毎年、多額の米国債を購入しているが、なぜこうしたことを続けなくてはならないのか。

No, that’s true. There is no alternative. It is the logic of the system. As long as Japan or any country is accumulating current account surplus, because so much of world trade and world financial flow that’s in U.S. dollar, it is almost inevitable that that surplus is going to be denominated in dollar.

 それは「上納金」などではありません。他に選択肢がないからです。きわめて合理的な選択です。日本にしろ、他の国にしろ、貿易黒字を計上する限り、世界の貿易や金融は米ドルで取り引きされます。だからそのもうけたドルで米国債を買っておく方が(少しでも金利がつくので)合理的なのです。だから買わされているわけではありません。

This is an interesting question, why couldn't? I mean, the last time that there was really an attempt to overthrow this sy...
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