社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
部活で水を飲んではいけない時代は終わったのか?
体育会系の部活に所属していた人ならこんなトラウマも
「コラー、お前ら! なんで水飲んでるんだー!!」真夏のこの時期、体育会系の部活に所属していた人ならトラウマとして、こんな言葉を監督や先輩から浴びせられた経験はあるのではないでしょうか。プロテインなどサプリメント食品を製造する企業「DNS」ではその理由について「水を飲んでもすぐには吸収されず、胃にもたれてしまって身体が重くなる、カラダが冷える、飲みたい欲求を我慢することで精神面を鍛えるといったようなもの」と、ギリギリの状況に耐えることが美徳とされたのかと推測していますが、その真意は定かではありません。
しかし雨の降った泥水、トイレの水を飲んだなどの"都市伝説"もあったと話す元スポーツマンもいますが、肉体の約60%が水分でできていることから「脱水そのものが運動のパフォーマンスを下げることに繋がります」とも記しており、現在では部活中に水を飲むことを推奨しています。
ただ、いまだに痛ましい事故はなくなったわけではありません。2016年8月には奈良県の中学校で、ハンドボール部に所属していた1年生の男子生徒が適切なタイミングでの給水ができず、熱中症の症状を訴えて命を落とすという事故がありました。その後も部活動での熱中症、脱水症状による事故は毎年のように起こっています。
現在ではスポーツ強豪校も積極的に水分補給
こういった犠牲を防ぐために、スポーツの強豪校も水分補給には細心の注意を払っています。環境省が立ち上げたサイト「熱中症予防プロジェクト」では硬式野球部やサッカー部などの強豪として知られる帝京高校側の取り組みとして、「口の中がかわいた感じがあった場合、すぐに水分を摂らせる」、「練習内容的には、短時間に行うようにする」などといった対策を練っているようです。
壇蜜世代も経験した「部活動中に水を飲むな」、今では笑い話
これらの対策によって、若きアスリートは日々トレーニングに励めているわけですが、30代以上の著名人では昔を懐かしむような声もあります。例えば、タレントの壇蜜さんが記した著書「どうしよう」では、現在40~50代の男性から「部活動中に水を飲むな」と言われ続けた話を聞き、壇蜜さんの世代も水分補給が完全肯定ではなかったことに触れています。実際にアスリートも、そういった不合理な経験をしていた模様です。プロレスラーの小島聡さんは自身のブログ「コジログ」で「水飲むな!!!」というタイトルの記事を執筆。新人時代に過酷なトレーニング中に「水飲むな!」と言われた記憶を思い出しつつも、「まぁでも、それもイイ思い出です」と締めています。
アスリートとしてのパフォーマンスを考えた際、水分補給は必須です。よく知られたスポーツドリンクである「ポカリスエット」の特設サイトによると、運動中の発汗量は1時間に約2リットルとされています。また「喉が渇いたな」と感じた時点で、すでに軽い脱水症状が始まっているということもあり、水分補給は絶対に必要なものです。
ただ不合理すぎた「水分補給禁止」は今ではあり得ないだけに、内容次第では「そんな時代もあったね」という笑い話になるのも事実。30代以上の世代にとっての“あるある”は、会話のネタとして有効な手段なのかもしれませんね。
<参考文献・参考サイト>
・『どうしよう』(壇密著、マガジンハウス)
・運動時の水分補給について考える-Part 1
http://www.dnszone.jp/magazine/2013/1101-002.php
・産経WEST:「部活顧問が水飲ませずランニング」
http://www.sankei.com/west/news/170425/wst1704250020-n1.html
・熱中症予防 声かけプロジェクト
https://www.hitosuzumi.jp/stylebook/112/
・コジログ:水飲むな!!!
http://ameblo.jp/f4koji/entry-11336555122.html
・ポカリスエット:みんなでつくる、ブカツの教科書
http://pocarisweat.jp/action/bukatsu-mikata/hydration/report1/
・『どうしよう』(壇密著、マガジンハウス)
・運動時の水分補給について考える-Part 1
http://www.dnszone.jp/magazine/2013/1101-002.php
・産経WEST:「部活顧問が水飲ませずランニング」
http://www.sankei.com/west/news/170425/wst1704250020-n1.html
・熱中症予防 声かけプロジェクト
https://www.hitosuzumi.jp/stylebook/112/
・コジログ:水飲むな!!!
http://ameblo.jp/f4koji/entry-11336555122.html
・ポカリスエット:みんなでつくる、ブカツの教科書
http://pocarisweat.jp/action/bukatsu-mikata/hydration/report1/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15