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DATE/ 2018.02.27

夜型人間はリスクが多い?その理由と改善方法

 朝型人間と夜型人間、あなたはどっちですか。大げさではなく、実は朝型か夜型かによって生き方も大きく変わります。そもそも、朝型と夜型はどうやって決まるのでしょうか。ここにはカラダのリズムをめぐる意外な事実が隠されているのです。

遺伝的に決められた体内時計

 朝型と夜型はどうやって決まるのか、まず思い当たるのは生活習慣。たとえば、仕事が深夜の時間帯までかかることが多くなって、とか、寝る前にネットサーフィンしたり、深夜番組を観るクセがついてしまって、とか、だんだん夜型の生活リズムになってしまうことが考えられます。

 たしかに、こうした生活習慣の影響は少ないはずです。ですが、もっと根本的な問題があることが指摘されています。遺伝子の影響です。

 体内には遺伝的に決定された時計があります。時差ボケにかかったことのある方は体内に時計があることを強く実感したことがあるはずです。この遺伝的な体内時計によって、そもそもの朝型、夜型の生活習慣が決まっている可能性があると指摘されているのです。言い換えれば、朝型と夜型のタイプは遺伝的影響であるために変えたくてもなかなか変えることはできないということでもあります。しかも、なんとも不公平なことに夜型タイプの人にはリスクやデメリットがあると言われています。

夜型タイプの健康リスク

 夜型タイプの人にはどんなデメリットがあるのでしょうか。「教えて!gooウォッチ」の記事によると、早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授は、夜型タイプの人は朝食欠如率が高いためメタボリックシンドロームになる可能性が高いこと、また、質の良い睡眠がとれていないことと関連して学業成績も良くない傾向にあることを指摘しています。

 学業成績は仕事とも言い換えることができるでしょう。質の良い睡眠は仕事力ともおおいに関係します。質の良い睡眠がとれないとパフォーマンスが悪くなるのは誰もが実体験として感じていることではないでしょうか。

 また、ハフィントンポストの記事では朝型タイプの方が「うつになる危険性が低い」と指摘しています。

寝る前のスマホ断ちから始めよう!

 かりに遺伝的に決まっているとしても、リスクがあるなら誰だって改善したいと思うはずです。学業成績や仕事に影響があるということは、すなわち収入にも差がでるということでもあります。

 希望はあります。実は「すべてが遺伝で決まる」という考え方は正しいとは言えません。氏か育ちかという問題は専門家のなかでも意見が分かれています。『やわらかな遺伝子』(マット・リドレー著、紀伊国屋書店)という本にそのことが詳しく書かれているのですが、今のところ、生まれも育ちも両方とも同じくらい影響があるという見方がバランスのとれた意見だと思います。

 そうなると、夜型を改善したい人にもチャンスはあるということです。先ほどの柴田教授は「極端な朝型」も健康には良くないことを指摘しつつ、朝型と夜型の中間型を目指すべきことを伝えています。そのために少しずつでいいので就寝時間と起床時間を早めていくこと、朝食をきちんととることをすすめています。また、よく言われていることですが、寝る前のスマホもなるべくやめたほうがいいでしょう。スマホの画面から発せられるブルーライトは寝不足の原因になると言われています。

 寝る前のスマホ断ち、少しずつの早寝早起き、朝食をとること、できることから少しずつ始めていってみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・教えて!goo :朝型・夜型になる原因、遺伝子が関係していた!
https://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/2f3e192f08e2a6861de6800e672b1ae2/
・HUFFPOST:朝型の人が違う7つの点
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/10/morning-people-lark-early-bird_n_5089968.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授