社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
テレビCM、その料金の裏側とは?
お金のかからないエンタメといえば、なんといってもテレビ番組ではないでしょうか。受信料の支払いが必要な国営放送NHKもありますが、民放においてはどのチャンネルも無料で観ることができます。気になるのは、あれだけバリエーションのある番組を制作し、放映しているテレビ局はどのような仕組みで利益をだしているのかという点です。よく聞く話としては、視聴率に基づいて設定されるCM放映料による収益があります。今回は、民放各社の支える放映料とCM制作の収支について調べてみました。
・企業/スポンサー料:1億円
→ 広告代理店/手数料(15%):1500万円
→ テレビ局/放映料(53%)、スタジオ経費(23%):7600万円
→ 番組制作会社/VTR制作料(9%):900万円
広告スポンサー1億円に対して、5300万円が放映料としてテレビ局の懐に入ることから、テレビ局の大きな収益は放映料という電波利権であることがよくわかります。民放キー局は、総務省から安価な電波利用料で認可された独占的な電波利用権によって、大きな収益をあげているといってよいでしょう。
一般人をターゲットにした広告の効果を上げるためには、視聴率のよい番組提供とその時間帯であることが必須となります。ある程度のクオリティと効果を狙って、全国放送30秒CMを制作する場合、少なくとも2000~3000万円は必要で、知名度のあるタレントを起用するとさらに数千万円アドオンされることになります。それなりのタレントを起用した大企業のCMは少なくとも制作費だけで億を超えることが少なくないのです。
とはいっても、世界的な景気回復の基調とあわせて、マスメディアとしての価値は、広告代理店と一体となった構造によって、まだまだキープしているといってよいでしょう。
テレビCMの放映料はどのくらいかかる?
気になるテレビCM放映料ですが、『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』によると、在京キー局のゴールデンタイム(19~22時)のCM放映料は200万円という金額が述べられています。これは単価換算の価格で、実際に全国放送で1クール(3ヶ月)の場合、番組提供スポンサーとしてCMを放映すると、1億を軽く超える金額になるとのこと。視聴率が低い深夜早朝といった時間帯においても、15秒のスポットCM1回で40万円。実際には1回だけではなく複数回の契約になるので、それなりの金額になるでしょう。テレビ局の放映利権
前掲書に示されている例示から、1時間番組でスポンサーが支払った金額からの内訳を具体的にみていきましょう。・企業/スポンサー料:1億円
→ 広告代理店/手数料(15%):1500万円
→ テレビ局/放映料(53%)、スタジオ経費(23%):7600万円
→ 番組制作会社/VTR制作料(9%):900万円
広告スポンサー1億円に対して、5300万円が放映料としてテレビ局の懐に入ることから、テレビ局の大きな収益は放映料という電波利権であることがよくわかります。民放キー局は、総務省から安価な電波利用料で認可された独占的な電波利用権によって、大きな収益をあげているといってよいでしょう。
放映料に加えて高額になるCM制作費
広告主である企業が支払うのは、放映料だけでなくCM制作料に及びます。一般人をターゲットにした広告の効果を上げるためには、視聴率のよい番組提供とその時間帯であることが必須となります。ある程度のクオリティと効果を狙って、全国放送30秒CMを制作する場合、少なくとも2000~3000万円は必要で、知名度のあるタレントを起用するとさらに数千万円アドオンされることになります。それなりのタレントを起用した大企業のCMは少なくとも制作費だけで億を超えることが少なくないのです。
独占市場のミライは?
独占的な電波利権の牙城であり、巨大なお金が動き、競争原理が働きにくいテレビ業界ですが、視聴習慣の変化や、インターネット経由で視聴できるコンテンツの多様化によって、テレビ営業は減収していくと予測されています。とはいっても、世界的な景気回復の基調とあわせて、マスメディアとしての価値は、広告代理店と一体となった構造によって、まだまだキープしているといってよいでしょう。
<参考文献>
・『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』(神樹兵輔・21世紀ビジョンの会著、高橋書店)
・『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』(神樹兵輔・21世紀ビジョンの会著、高橋書店)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
「ヒトは共同保育の動物だ」――核家族化が進み、子育ては両親あるいは母親が行うものだという認識が広がった現代社会で長谷川氏が提言するのは、ヒトという動物本来の子育て方法である「共同保育」について生物学的見地から見直...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/08/31
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本は第二次大戦後に軍事飛行等の技術開発が止められていたため、宇宙開発において米ソとは全く違う道を歩むことになる。日本の宇宙開発はどのように技術を培い、発展していったのか。その独自の宇宙開拓の過程を解説する。(...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/02
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
現代流にいうと地政学的な危機感が日本を中央集権国家にしたわけだが、疫学的な危機によって、それは早い終焉を迎えた。一説によると、天平期の天然痘大流行で3割もの人口が減少したことも影響している。防人も班田収授も成り行...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/01
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
数学も音楽も生きていることそのもの。そこに正解はなく、だれもがみんな数学者で音楽家である。これが中島さち子氏の持論だが、この考え方には古代ギリシア以来、西洋で発達したリベラルアーツが投影されている。この信念に基...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/08/28
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
なぜモンゴルがあれほど大きな帝国を築くことができたのか。小さな部族出身のチンギス・ハーンは遊牧民の部族長たちに推されて、1206年にモンゴル帝国を建国する。その理由としていえるのは、チンギス・ハーンの圧倒的なカリス...
収録日:2022/10/05
追加日:2023/01/07