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「牛丼屋」バイト時給が一番高いのはどのチェーン?
早い、安い、うまい、の代名詞といえば牛丼屋さんではないでしょうか。牛丼チェーンは世界展開も進み、もはやお寿司と並ぶ日本発ファーストフードの代表と言えるでしょう。また国内ではチェーン店が熾烈な争いを続けています。2018年3月末時点での国内店舗数は、「すき家」が1944店、「吉野家」1197店、「松屋」が953店、「なか卯」が461店となっています。「すき家」がトップに立ち、「吉野家」と「松屋」が同じくらいの規模で2番手争いをしている、という状況のようです。また「なか卯」は「すき家」と同じ「ゼンショーグループ」なので、「すき家」と棲み分けた独自の展開をしていると言えます。
「すき家」1,120円、深夜時給1,400円、高校生1,050円
「吉野家」1,100円、22時以降は25%UP(1,375円)、高校生1,100円
「松屋」1,050円、22時から翌5時は1,375円、5時から8時は1,100円、高校生1,050円
日中の時給で最も高い「すき家」と最も安い「松屋」の差は70円です。時給で70円違うと、例えば8時間働いた時点では560円の差となります。これを例えば1日8時間、週3日で1ヶ月(4週)働いたとすれば、6,720円差です。時給だけで考えると「すき家」がもっとも割がいいようです。
また、詳細な条件をよく見てみると、それぞれ、少し独自性があります。「松屋」には「お財布が困った時の「前給制度」あり(稼働分の50%までお給料日前に受け取れます!)」と記載されています。なんと給料前借り可です。また、「吉野家」には「吉野家奨学金制度」というものがあるようです。これは、「大学への入学金や学費分の資金を吉野家が貸与する」というもの。さらに「卒業後に同社に入社すれば全額、同業の飲食チェーンに入社時半額をそれぞれ免除」との記載があります(ただし、「年間10人迄、当社規定にて選抜」との記載あり)。これらの取り組みは、単に時給だけに頼らない、独自のインセンティブを設けて人を集めようという試みと言えるでしょう。
他にも、「すき家」は主婦・フリーター歓迎、扶養内勤務可との記載があります。これに対して「松屋」はシニア世代・経験者優遇との記載あり。つまり、やや募集ターゲットをずらしている印象です。また「吉野家」は「奨学金制度」から考えると、学生層がターゲットと言えるかもしれません。これはもしかしたら、各社の独自性を出すというよりも、限られた労働力の奪い合いを避ける狙いもあるのではないでしょうか。もしかしたら、こういったところにも、人手不足が深刻化している現状の一端が現れている、と読み取ることも可能かも知れません。
「すき家」「吉野家」「松屋」それぞれの時給
「すき家」は、深夜営業を一人のスタッフでこなす、いわゆる「ワンオペ」が2014年に問題になりました。しかしその後は、多くの店舗で深夜営業を取りやめ、労働環境の改革を進めました。では、それぞれの待遇を見てみましょう。まずは一番分かりやすいアルバイトの時給です。もちろん立地や募集時期によってこの金額は異なります。ここでは本稿執筆時点でのそれぞれの高田馬場店(東京都新宿区)での時給で比較します。「すき家」1,120円、深夜時給1,400円、高校生1,050円
「吉野家」1,100円、22時以降は25%UP(1,375円)、高校生1,100円
「松屋」1,050円、22時から翌5時は1,375円、5時から8時は1,100円、高校生1,050円
日中の時給で最も高い「すき家」と最も安い「松屋」の差は70円です。時給で70円違うと、例えば8時間働いた時点では560円の差となります。これを例えば1日8時間、週3日で1ヶ月(4週)働いたとすれば、6,720円差です。時給だけで考えると「すき家」がもっとも割がいいようです。
松屋には「前給制度」、吉野家には「奨学金制度」アリ!
では仕事内容で比較するとどうでしょうか。最も大きな違いは、食券のありなしかと思われます。「松屋」は食券制なので、「オーダーを取る」「覚えておく」といった手間がないようです。では「松屋」の仕事のほうが楽なのか、と思いきやそうとも言えません。「松屋」は、定食などメニューの種類が多く、調理に回るとなかなか大変との話も聞かれます。また、詳細な条件をよく見てみると、それぞれ、少し独自性があります。「松屋」には「お財布が困った時の「前給制度」あり(稼働分の50%までお給料日前に受け取れます!)」と記載されています。なんと給料前借り可です。また、「吉野家」には「吉野家奨学金制度」というものがあるようです。これは、「大学への入学金や学費分の資金を吉野家が貸与する」というもの。さらに「卒業後に同社に入社すれば全額、同業の飲食チェーンに入社時半額をそれぞれ免除」との記載があります(ただし、「年間10人迄、当社規定にて選抜」との記載あり)。これらの取り組みは、単に時給だけに頼らない、独自のインセンティブを設けて人を集めようという試みと言えるでしょう。
他にも、「すき家」は主婦・フリーター歓迎、扶養内勤務可との記載があります。これに対して「松屋」はシニア世代・経験者優遇との記載あり。つまり、やや募集ターゲットをずらしている印象です。また「吉野家」は「奨学金制度」から考えると、学生層がターゲットと言えるかもしれません。これはもしかしたら、各社の独自性を出すというよりも、限られた労働力の奪い合いを避ける狙いもあるのではないでしょうか。もしかしたら、こういったところにも、人手不足が深刻化している現状の一端が現れている、と読み取ることも可能かも知れません。
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