テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.05.21

世界で最も「日本人が多い国」は?

 海外にどれくらいの数の日本人が住んでいるか、知っていますか。また、在留邦人の数はどこの国に多いのか、分かりますか。

 在留邦人数の多い国ベスト10の話題を中心に、あまり知られていない海外在留邦人の豆知識をお伝えします。

海外在留邦人の総数は過去最大を記録

 2018年に発表された外務省の統計によると、海外在留邦人の総数は、135万1970人でした。これは2017年10月1日に集計されたもので、その前年の2016年よりもおよそ1パーセントの増加。この統計が始まった1968年以降最多となりました。

 これはまさにグローバル時代の象徴とも言える結果でしょう。地域別では「北米」が全体の約37%を占めトップ。1985年以降、首位を維持しています。2位は「アジア」で約29%、3位は「西欧」約16%です。これら3地域が全体の8割を占めています。

世界中から人々が集う二つの大国

 さて、国別の結果も見てみましょう。1位、2位はおそらく想像がつくと思います。日本人ならずとも世界中の人々がこの二つの大国に集まってきています。1位アメリカ、2位中国です。アメリカには約42万人、中国には約12万人の日本人が暮らしています。

 3位から10位も一挙に発表します。3位オーストラリア、4位タイ、5位カナダ、6位英国、7位ブラジル、8位ドイツ、9位フランス、10位韓国です。

日系企業の数が多い国ランキング

 トップ10の国々はいずれも先進国および急成長している新興国です。経済的な結びつきの強さが大きく反映されています。とりわけ中国、アメリカ、タイ、ドイツは日系企業の数が多い国ランキングでもトップ10入りしています。イギリスにおいてはEU離脱問題が引き金となり、日系企業は大きく減少しています。

 日系企業の数が多い国ランキングは、1位から順に中国、アメリカ、インド、タイ、インドネシア、ベトナム、ドイツ、フィリピン、マレーシア、シンガポールです。

 ブラジルについては、もともと日系移民が多いという歴史も強く影響しているのでしょう。ただし近年は減少傾向にあるようです。

学術・文化の結びつき

 オーストラリア、カナダ、フランス、韓国に在留邦人が多い理由は、経済的な結びつきだけではなく学術・文化の側面から考えるとよく分かります。

 在留邦人の定義は「海外に3か月以上在留している日本国籍を有する者」です。つまり、留学生や研究者も含まれます。オーストラリアとカナダは留学先としてとても人気がありますね。

 英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズによる学生都市ランキング2018では、1位ロンドン、2位東京、3位メルボルン、4位モントリオール、5位パリでした。韓国ソウルは10位でしたが、2017年版では4位でした。

 学術・文化には人を集める力があるのです。経済優先を掲げて数値ばかりを追いかけていたらその国も都市も人も魅力を失っていくことでしょう。その点、東京が2位に入ったことは日本人として誇らしいですね。

<参考サイト>
・海外在留邦人数調査統計 平成30年要約版│外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf
・QS学生都市ランキング2018、東京の順位上昇…1位は?│リセマム
https://resemom.jp/article/2018/05/22/44637.html
・QS学生都市ランキング2017…モントリオール首位、東京7位へダウン│リセマム
https://resemom.jp/article/2017/02/16/36574.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?

今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?

医療から考える国家安全保障上の脅威(3)NBC兵器をめぐる最新情勢

2006年ロシアのKGB元職員暗殺には「ポロニウム210」というNBC兵器が用いられた。これは、検知しやすいγ線がほとんど出ない放射線核種で、監視の目を容易にすり抜ける。また、2017年金正男氏殺害に使われた「VX」は、2種の薬剤を...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/15
山口芳裕
杏林大学医学部教授
2

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
3

「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験

「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験

おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!

『法華経』といえば紀元1世紀から3世紀に成立したといわれる大乗仏教の代表的経典である。厳しい修行や哲学的思索を行う出家が中心だった当時のインド仏教に対し、誰もが平等に成仏できると説く『法華経』は画期的なものだった...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/05/04
鎌田東二
京都大学名誉教授
4

運動では減らないコレステロール…食生活の見直しで対策を

運動では減らないコレステロール…食生活の見直しで対策を

健診結果から考える健康管理・新5カ条(5)コレステロールは運動では減らない

コレステロールは中性脂肪と混同されがちだが、まったく異なる性質の脂(あぶら)である。コレステロールには、消化酵素になるなど3つの使い道があるが、摂り過ぎると運動しても簡単になくならないため、血管の変化を引き起こし...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/13
野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
5

生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは

生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(9)弥生人の「生の世界」

弥生時代の衣食住には、いったいどんな文化があったのだろうか。土器やスタンプ痕の分析から浮かび上がる弥生人が生きていた世界、その生活をひもとくと、農耕の発展の経路や死生観など当時のさまざまな文化の背景が見えてくる...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/14
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授