社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
VRが流行らない3つの理由
「VR元年」と呼ばれた2016年から早くも7年目を迎えました。毎年、「今年こそは」と言われながらもなかなか普及にはいたらないVR。なぜ、VRはなかなか普及しないのか。その理由を考えてみたいと思います。
もちろん、据え置き機だけでなく、今やスマホでもVRは楽しむことができるようになりました。VRを使ったイベントやサービスも増え始めています。ただし、ゴーグルは必要です。ゴーグルという物理的な障壁をいかに解決していくかが普及の鍵になることは間違いないでしょう。
VR酔いもゴーグル同様にVRの普及を大きく妨げています。ただし、VR酔い対策の研究は順調に進んでおり、全体としては軽減に向かっているようです。Otolith Labsという医療系企業が開発したVR酔いを軽減するウェアラブルデバイス「OtoTech」は、非常に優秀で、米軍も注目していると言われています。
こちらの問題も「VR酔い」と同じく、解決する方向に向かっているのかもしれません。外部からVRの中の映像を見ることができる仕組みが開発されています。「MoguraVR」の記事によると、2018年、ソニーは、スマホのような端末をかざすことでVRの中の様子を覗き込むことができるシステムの特許を申請したとのこと。こうしたシステムを開発しているのはソニーだけではありません。
たしかに「Oculus Quest」は、持ち運び可能なサイズでありながら、PCなど外部接続が不要で単体で起動できることからかなり革新的な商品と言えます。第一に挙げたゴーグルの手間もある程度は解消してくれるでしょう。3年たった現在、Oculus Quest2が既に発売しており、3リリースにも期待が高まっています。
VRの3つの課題として取り上げた「ゴーグル」「VR酔い」「孤独感」への取り組みは、最近になってやっと効果がではじめたところです。そういう意味では、元号令和とともにやっと「VR元年」を迎えたと言ってもいいのかもしれません。ただし、普及という段階にいたるまでは、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。
ゴーグルという物理的な障壁
まず一つ目に考えられるのは「ゴーグル」をつける手間です。そもそも、VR対応の据え置きゲームやPC自体が、スマホなどの携帯機と比べ、起動が面倒な仕様になっています。それに加えて、ゴーグルも着用しなければいけないとなると、始めるだけでも億劫になります。もちろん、据え置き機だけでなく、今やスマホでもVRは楽しむことができるようになりました。VRを使ったイベントやサービスも増え始めています。ただし、ゴーグルは必要です。ゴーグルという物理的な障壁をいかに解決していくかが普及の鍵になることは間違いないでしょう。
VR酔いで吐き気や頭痛も
二つ目は、「VR酔い」です。VR酔いの原因ははっきりしていませんが、「体験者の動き」と「見ている映像の動き」のズレから生じると言われています。吐き気や頭痛など、乗り物酔いに似た症状があらわれます。個人差が大きく、まったくVR酔いをしない人もいれば、プレイ続行が不可能になるほど重い症状を引き起こす人もいます。VR酔いもゴーグル同様にVRの普及を大きく妨げています。ただし、VR酔い対策の研究は順調に進んでおり、全体としては軽減に向かっているようです。Otolith Labsという医療系企業が開発したVR酔いを軽減するウェアラブルデバイス「OtoTech」は、非常に優秀で、米軍も注目していると言われています。
プレイヤーも周囲の人も孤独になる
三つ目は、VRを体験しているプレイヤーと、周りでその様子を見ている人が隔絶しているという問題です。テレビにしても、ゲームにしても、映像体験をその場で同時に共有することができます。しかし、VRの場合、同じ場所にいるにも関わらず、VRの体験者もその周囲の人もともに孤独な状態に置かれることになるのです。こちらの問題も「VR酔い」と同じく、解決する方向に向かっているのかもしれません。外部からVRの中の映像を見ることができる仕組みが開発されています。「MoguraVR」の記事によると、2018年、ソニーは、スマホのような端末をかざすことでVRの中の様子を覗き込むことができるシステムの特許を申請したとのこと。こうしたシステムを開発しているのはソニーだけではありません。
「Oculus Quest」の登場
ここまでVRの3つの根本的な問題点を取り上げてきましたが、別の角度からの指摘もあります。ハフポストは「2019年こそ本当の「VR元年」になると言える2つの理由 4度目の正直になる可能性がある。」という記事を報じています。「Oculus Quest」の発売によって「視界だけではなく、距離感も体感できるようになる」。さらに「手軽な価格により、一気に普及する可能性がある」という内容です。たしかに「Oculus Quest」は、持ち運び可能なサイズでありながら、PCなど外部接続が不要で単体で起動できることからかなり革新的な商品と言えます。第一に挙げたゴーグルの手間もある程度は解消してくれるでしょう。3年たった現在、Oculus Quest2が既に発売しており、3リリースにも期待が高まっています。
VRの3つの課題として取り上げた「ゴーグル」「VR酔い」「孤独感」への取り組みは、最近になってやっと効果がではじめたところです。そういう意味では、元号令和とともにやっと「VR元年」を迎えたと言ってもいいのかもしれません。ただし、普及という段階にいたるまでは、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。
<参考サイト>
・振動だけでVR酔いを緩和!ウェアラブルデバイス「OtoTech」が登場!
https://vrinside.jp/news/post-151219/
・ソニー、VR内を覗き込むセカンドスクリーンの特許を申請
https://www.moguravr.com/sony-vr-second-screen-patent/
・振動だけでVR酔いを緩和!ウェアラブルデバイス「OtoTech」が登場!
https://vrinside.jp/news/post-151219/
・ソニー、VR内を覗き込むセカンドスクリーンの特許を申請
https://www.moguravr.com/sony-vr-second-screen-patent/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
歴史上の出来事の本質を知るには、その真贋を見定めなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。記述の異なる複数の本がある場合、いかにして真実を見極めるか。また、司馬遼太郎の作品が「歴史事実」として認識されて...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/12/02
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02


