社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.09.01

外国人観光客が日本で一番やりたいことは?

 2019年の上半期の訪日外国人客数は過去最高を記録しました。日本政府観光局によると、その数およそ1663万人。そのうち訪日の目的の80パーセントほどは観光・レジャーです。

 どんどん増え続ける外国人観光客の数ですが、彼らが日本で一番やりたいことはいったい何だと思いますか。

日本食をがダントツトップ

 観光庁の訪日外国人消費動向調査(2018年)で「訪日前に期待していたこと」という質問に対してダントツで多かったのが「日本食を食べること」。複数回答有りですが、なんと70パーセント以上が「日本食」に期待していると回答しました。「自然・景勝地観光」や「ショッピング」がほぼ同列でそのあとに続きます。

 では、日本食のどんな料理を求めているのか。「最も満足した飲食」という別の質問項目では、「肉料理」が23.9パーセントで1位、「ラーメン」が2位、「寿司」が3位と続きました。

外国人が好きな「肉料理」

 満足した理由には、シンプルに「美味しい」から。それから「食材が新鮮」。「ラーメン」と「肉料理」については「自国で味わうことができない」「伝統的・日本独特」「好きな料理・食品である」という回答も多くみられました。

 ところでラーメン、寿司はわかりますが、肉料理って何でしょう。「満足した飲食とその理由の詳細分析」という国別の調査では、韓国人が最も満足した飲食に「肉料理」を挙げています。その内訳は多い順に「トンカツ」「牛カツ」「ステーキ」「ハンバーグ」「牛丼」でした。

 トンカツや牛カツ、牛丼が寿司やラーメンより人気があるのはかなり意外ですね。

十国十色の出費の内訳

 2018年における訪日外国人の旅行支出は1人当たり平均およそ15万円。そのうち、買物代が最も高く、5万円程でした。先ほどの「訪日前に期待していたこと」という質問では、日本食に次いで「ショッピング」も人気がありました。

 出費の内訳にはお国柄があらわれます。国によってお金をかける対象がけっこう違うんです。たとえば、中国は買物代がぶっちぎりでトップ。一人当たり11万円ほど支出しています。

 オーストラリアは娯楽等サービス費がダントツで、一人当たり1万6千円ほど。2位のイギリスが8千円ほどなので2倍ほどの差をつけています。飲食費のトップはスペインです。一人当たり6万円ほど使っています。

 外国人観光客と一口に言っても十人十色ならぬ十国十色。また、時代によっても需要は大きく変わります。一昔前まで日本といえば、スシ、ゲイシャ、サムライでした。それが今やスシ、ラーメン、トンカツです。

 肉料理が人気の一方で、ヨーロッパやアメリカでは肉を食べないベジタリアンやビーガンの人たちがいます。多くのイスラム教徒は豚肉を食べません。観光立国を目指す日本としては、こうした食の多様化、食のバリアフリーへの対応も急がれます。

<参考サイト>
・LCC利用客の特徴及び満足した飲食とその理由(韓国の結果から)│観光庁
http://www.mlit.go.jp/common/001179932.pdf
・訪日外国人の消費動向 2018 年 年次報告書│観光庁
http://www.mlit.go.jp/common/001285944.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
2

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解

アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11
3

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
4

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転

カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造

2025年9月、アメリカのトランプ政権は、国防総省を「戦争省」へ名称を変更した。それは内戦の構造を根本的に反転させる、大きな変化を象徴する出来事だった。政府から国民に対して行われるトップダウンの内戦とはなにか。ゲリラ...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/05
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー