社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
賃貸と持ち家…「老後の賃貸」のリスクとは?
よく「賃貸 vs 持ち家」という論争を目にします。近年の傾向としては、賃貸推しでしょうか。家を買う場合、組んだローンが重くのしかかることをその理由の一つにあげています。45歳以上の中高年からのリストラが増えており、現状の収入を維持できなくなる可能性を想定してのことになります。加えて、年金制度も今後どうなるか、不安の影をおとしています。
では、「生涯賃貸」という選択にはリスクがないのでしょうか?
多くの方は毎月の家賃を年金から支払うことになりますが、金融庁が2019年5月に発表して話題になった『高齢社会における資産形成・管理 報告書(案)』にも「少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。」と書かれており、年金支給額が減らされる確率はかなり高いと言えます。そうなると、支払いが苦しくなる可能性があります。もちろん、持ち家であっても、毎月ある程度の支出(固定資産税やマンションの管理費など)は発生しますが、基本的に家賃よりかなり小額になります。
(2) 想定より長生きしてしまって老後資金が底をつくリスク
賃貸である以上、毎月家賃を払う必要がありますが、老後資金は無限にあるわけではありません。前述の金融庁の報告書案でも、「年金だけでは老後資金が不足するため、約1300~2000万円程度の蓄えが必要」という旨が書かれています。
しかし、「持ち家」なら、2000万円で十分かもしれませんが、「賃貸」となると、2000万円ではとても足りません。仮に、毎月5万の家賃を60歳から90歳まで30年間払い続けると単純計算で1800万、7万円だと2520万円になります。これに生活費が加わるわけですから、全く足りません。
もちろん、持ち家の場合でも、コストはゼロではありませんが、「賃貸」の場合、毎月の額が大きいだけに自分が想定していたより長生きしてしまった場合に資金が尽きる「長生きリスク」が大きくなってしまいます。
(3) 家主から契約を断られるリスク
若い時は賃貸物件を借りる際に苦労することは少ないですが、高齢になると賃貸物件は借りづらくなる傾向があります。
賃貸のメリットは生活レベルに見合った物件に引っ越しできるところにあります。契約の難度は、賃貸そのものではなく高齢化によるところです。
持ち家の場合も、ローンの支払いばかりでなく、経年劣化による修繕費、場所によっては高額な固定資産税を支払うことができなくなるというリスクもあります。
持ち家、賃貸ともに高齢化によるリスクは避けられないといってよいでしょう。持ち家、賃貸ともにメリット・デメリットがあり、リスクは高齢化にあるのです。
日本は超高齢化社会と言われるほどに高齢者が増えていますが、その一方で若者が減り、人口が減少していくため空き家は増加していきます。少し古いデータですが、国交省のレポートでは、1983年から2013年までの30年間で空き家の数は三倍近く増加しており、今後も増え続けていきます。
そうなると、家主は「入居者がいないよりは高齢者でも住んで欲しい」と考え、高齢での契約も容易になる可能性があります。結果、主なリスクは資金に収斂されます。ここがクリアになるならば、「生涯賃貸」もアリでしょう。
持ち家と賃貸、どちら選択をするにしても、それぞれのメリット・デメリットを鑑みて、自分にあったライフプランから最適な選択をしたいものです。
では、「生涯賃貸」という選択にはリスクがないのでしょうか?
老後に賃貸のリスクは大きく3つある
(1) 年金が減って家賃が払えなくなるリスク多くの方は毎月の家賃を年金から支払うことになりますが、金融庁が2019年5月に発表して話題になった『高齢社会における資産形成・管理 報告書(案)』にも「少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。」と書かれており、年金支給額が減らされる確率はかなり高いと言えます。そうなると、支払いが苦しくなる可能性があります。もちろん、持ち家であっても、毎月ある程度の支出(固定資産税やマンションの管理費など)は発生しますが、基本的に家賃よりかなり小額になります。
(2) 想定より長生きしてしまって老後資金が底をつくリスク
賃貸である以上、毎月家賃を払う必要がありますが、老後資金は無限にあるわけではありません。前述の金融庁の報告書案でも、「年金だけでは老後資金が不足するため、約1300~2000万円程度の蓄えが必要」という旨が書かれています。
しかし、「持ち家」なら、2000万円で十分かもしれませんが、「賃貸」となると、2000万円ではとても足りません。仮に、毎月5万の家賃を60歳から90歳まで30年間払い続けると単純計算で1800万、7万円だと2520万円になります。これに生活費が加わるわけですから、全く足りません。
もちろん、持ち家の場合でも、コストはゼロではありませんが、「賃貸」の場合、毎月の額が大きいだけに自分が想定していたより長生きしてしまった場合に資金が尽きる「長生きリスク」が大きくなってしまいます。
(3) 家主から契約を断られるリスク
若い時は賃貸物件を借りる際に苦労することは少ないですが、高齢になると賃貸物件は借りづらくなる傾向があります。
賃貸のメリットは生活レベルに見合った物件に引っ越しできるところにあります。契約の難度は、賃貸そのものではなく高齢化によるところです。
持ち家の場合も、ローンの支払いばかりでなく、経年劣化による修繕費、場所によっては高額な固定資産税を支払うことができなくなるというリスクもあります。
持ち家、賃貸ともに高齢化によるリスクは避けられないといってよいでしょう。持ち家、賃貸ともにメリット・デメリットがあり、リスクは高齢化にあるのです。
家を借りられないリスクは減少していく可能性も
長い目で見れば、家を借りられないリスクは減少していく可能性があります。日本は超高齢化社会と言われるほどに高齢者が増えていますが、その一方で若者が減り、人口が減少していくため空き家は増加していきます。少し古いデータですが、国交省のレポートでは、1983年から2013年までの30年間で空き家の数は三倍近く増加しており、今後も増え続けていきます。
そうなると、家主は「入居者がいないよりは高齢者でも住んで欲しい」と考え、高齢での契約も容易になる可能性があります。結果、主なリスクは資金に収斂されます。ここがクリアになるならば、「生涯賃貸」もアリでしょう。
持ち家と賃貸、どちら選択をするにしても、それぞれのメリット・デメリットを鑑みて、自分にあったライフプランから最適な選択をしたいものです。
<参考サイト>
・金融審議会市場ワーキング・グループ「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案) https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522/01.pdf
・空き家の現状と課題(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001125948.pdf
・金融審議会市場ワーキング・グループ「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案) https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522/01.pdf
・空き家の現状と課題(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001125948.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(9)弥生人の「生の世界」
弥生時代の衣食住には、いったいどんな文化があったのだろうか。土器やスタンプ痕の分析から浮かび上がる弥生人が生きていた世界、その生活をひもとくと、農耕の発展の経路や死生観など当時のさまざまな文化の背景が見えてくる...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/14
運動では減らないコレステロール…食生活の見直しで対策を
健診結果から考える健康管理・新5カ条(5)コレステロールは運動では減らない
コレステロールは中性脂肪と混同されがちだが、まったく異なる性質の脂(あぶら)である。コレステロールには、消化酵素になるなど3つの使い道があるが、摂り過ぎると運動しても簡単になくならないため、血管の変化を引き起こし...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/13
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
『法華経』といえば紀元1世紀から3世紀に成立したといわれる大乗仏教の代表的経典である。厳しい修行や哲学的思索を行う出家が中心だった当時のインド仏教に対し、誰もが平等に成仏できると説く『法華経』は画期的なものだった...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/05/04
イスラエルの歴史を学ぶ~シオニズム運動と英国の三枚舌
近代イスラエルの誕生:その苦闘の背景(1)
国防において、科学・芸術・産業の追究において、イスラエル人が示す桁外れの熱意。その根源は、民族がたどった歴史にあると島田晴雄氏は言う。現代のイスラエル精神に直接影響を及ぼした近代イスラエルの成立過程を2回に分...
収録日:2013/10/04
追加日:2014/07/17
米国史の教訓…ドル基軸通貨体制の信認を問う大転換に?
株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(1)アメリカ史の教訓とは
トランプ関税の影響は、今後、どのように広がっていくのだろうか? 過去の大きな構造変化や金融環境の変化が各国の「株価リターン」にどのような影響を与えたのかを分析しつつ、今後を考えるヒントがないかを検証していく。第1...
収録日:2025/04/18
追加日:2025/05/02