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DATE/ 2021.02.15

歴史に学ぶ…過去30年の日本の株価の推移

 2020の株式市場は大荒れでした。2020年1月17日時点での日経平均株価はリーマン・ショック後の最高値に迫る2万4000円台。その後1月後半に新型コロナウイルスによる事態の深刻さが伝わり、下がり始めます。2月後半から3月頭で暴落して1万6000円台に。そこから各国の大規模な金融緩和や財政出動が影響し、4月には2万円台を回復します。さらに11月を過ぎると、日経平均はバブル後の最高値を更新して2万6000円台まで回復。ざっと見ただけでも波乱の一年だったことがわかります。

 では、株価はこれまでどのような変遷をたどっているのでしょうか。およそ過去30年ぐらいを振り返り、歴史上大きなイベントで株価はどう動いたかというところを見てみましょう。

バブル崩壊前夜、1990年の乱高下

 2020年1月9日の東京株式市場での日経平均株価は2万8139円03銭となりました。終値が2万8000円台となったのは1990年8月15日以来、約30年5か月ぶりとのことです。1990年といえばイラクのクウェート侵攻、東西ドイツ統一など大きな社会的出来事が起きたエポックメイキングな年です。

 この年、日経平均は前年末の史上最高値(1989年(平成元年)12月29日の3万8957円44銭)から急落。年間下げ幅は1万5067円16銭で、下落率は-38.72%です。一方、同じ1990年10月2日には前日から2676円55銭(13.24%)高の2万2898円41銭という、一日での上昇としては歴代最高を記録しています。

 これは株価が大きな落ち込みを見せた1990年10月1日、当時の橋本龍太郎蔵相が投資の負担軽減策を即時に明らかにしたことが大きいようです。ともあれ1990年がいかに激動の年であったかがわかります。

ITバブル崩壊、同時多発テロ

 こののち、1991年から土地価格下がり、本格的にバブル崩壊が訪れます。このあと1999年から2000年あたりでITバブルが発生し、3月には日経平均株価は一時2万円台まで上昇します。しかしブームは長く続かず、同年10月には1万5000円を割りこみます。

 そして2001年9月11日の米同時多発テロが起きます。ここでの日経平均株価は9610円。ここからアメリカがイラク戦争へ向かう緊張(2003年3月20日開戦)、2002年に発生したSARSが2003年まで流行するといった影響により、2003年には8000円を割り込みます。その後、2006年までの小泉純一郎政権での規制緩和への期待感から株価は再び上昇し、2007年に1万8,000円を超えます。

リーマン・ショックでの下落率は-51.3%

 バブル崩壊後、終値ベースとして日経平均株価が最も低かったのは、2009(平成21)年3月10日の7,054円98銭です。引き金はこの前年、2008年9月のリーマン・ブラザーズの倒産です。負債は6130億ドル(約60兆円)。ここまでの額になれば、世界的な影響が出ないわけにはいきません。ちなみにバブル崩壊後、日経平均株価が最も低かった時点は2008年10月28日の6,994円90銭です。

 こののち、いわゆるアベノミクスによって2012年からおよそ7年間、相場は比較的安定的に上昇します。下落率だけから見れば、2000年から2001年のITバブル崩壊時は-43.3%、2008年から2009年のリーマン・ショックでは-51.3%、2020年のコロナ・ショックは-30.6%となっています。過去30年だけでも、かなり激動していることがわかります。

<参考サイト>
日経平均が語った「高揚と動揺」 記録で振り返る|日経平均プロフィル(日経の指数公式サイト)
https://indexes.nikkei.co.jp/atoz/2020/10/70thanniv2.html
2000年代:911テロとリーマン・ショック|日経平均プロフィル(日経の指数公式サイト)
https://indexes.nikkei.co.jp/atoz/2016/06/2000s.html
日経平均、11月は30年ぶりの上げ幅 データで見ると…|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH0770H0X01C20A2000000
2000年以降の日経平均株価の「●●ショック」を振り返るリーマン、チャイナ、コロナ……|大和ネクスト銀行
https://www.bank-daiwa.co.jp/column/articles/2020/2020_243.html
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