社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
スマホの電話、「本人の声」ではないって本当?
知っている人からスマホに電話が来たとき「あれ? この人ってこんな声だっけ?」と思うこと、ありませんか。SNS上では「スマホの声は本人の声ではないのではないか」という噂も飛び交っています。
果たして噂は本当なのでしょうか? 真偽を確かめるべく調べてみました。
スマホで通話をする仕組み上、肉声そのままよりも、合成した音声で届けたほうが通信時のデータ容量を軽くできるため、スムーズに音声通信ができるようになります。逆に肉声そのままで音声を送ろうとすると、送信のためのデータ量が膨大になりすぎて回線が重たくなり、事実上通話不可能なのです。
それでは、スマホで声が届く仕組みについて詳しく見ていきましょう。
固定電話の場合、使われているのは「波形符号化方式」という通信方式です。原理としては人が声を発する時、声帯がふるえ、声道を通ることで音声(音波)が出るのと同じで、例えるなら「糸電話」のような仕組みになります。有線(声帯・声道)=糸として考えるとわかりやすいでしょうか。
いっぽう、携帯電話やスマホのような無線通信の場合は、主に「ハイブリッド符号化方式」という通信方式を使います。話し声は、まずスマホ内でデジタル変換されたあと、「固定コードブック」という“音の辞書”(スマホ内で数学的につくられるもの)から元の声に近い声のパターンが選ばれ、自動合成されます。その音声を電波に乗せ、相手に届けるという仕組みです。さらに受信先のスマホでもまた「届いた声に近い声」に合成され、再生されます。
この“音の辞書”たる固定コードブックとは、声のパターン、すなわち音の素の組み合わせが入っていて、その数は約43億通りにものぼるそう。また固定コードブックと一緒に「適応コードブック」という音声コードのメモ書きのようなものも参照することで、より元の声に似た声を生成できるのだそうです。
文章にすると複雑な流れになっていますが、実際はこの「ハイブリッド符号化方式」は「波形符号化方式」よりも通話時のデータ容量が16分の1程度と非常に軽く、回線に負荷がかからないのが大きな特徴です。限られた回線を効率よく使うために開発された技術なんですね。
SNSアプリでの音声通話の場合は「ハイブリッド符号化方式」「波形符号化方式」のほか、音楽向けの符号化方式も採用されているそうです。無線でも有線並に大きなデータを送受信できるようになってきており、容量を軽くする必要性が薄れてきているのです。
スマホ通話音声も、今は容量を軽くするための合成音声がメジャーですが、より原音に近くなっていくのはもちろん、さらに声だけを際立たせる、臨場感を持たせる……など、個人の好みに合わせた音声方式が開発されていくと考えられています。
スマホの声が本人の声ではない、というのはやはり驚きでしたが、私たちが気づかないうちに音声技術はどんどん進化しているんですね。「つながる」ことがますます重要性を帯びてきている昨今だからこそ、声が届くことの大切さを今一度、振り返ってみてもいいかもしれません。
果たして噂は本当なのでしょうか? 真偽を確かめるべく調べてみました。
スマホの声の正体は「合成音声」
結論から言うと、スマホの声は本人の声ではない、というのは本当です。では私たちは何の声を聞いているかというと、スマホの中で“本人の声そっくりにつくられた”合成音声なのです。スマホで通話をする仕組み上、肉声そのままよりも、合成した音声で届けたほうが通信時のデータ容量を軽くできるため、スムーズに音声通信ができるようになります。逆に肉声そのままで音声を送ろうとすると、送信のためのデータ量が膨大になりすぎて回線が重たくなり、事実上通話不可能なのです。
それでは、スマホで声が届く仕組みについて詳しく見ていきましょう。
有線、無線はそれぞれ音の届け方が違う
実は固定電話と携帯電話・スマホでは、音声の届け方に違いがあります。それは有線通信と無線通信の違いでもあります。固定電話の場合、使われているのは「波形符号化方式」という通信方式です。原理としては人が声を発する時、声帯がふるえ、声道を通ることで音声(音波)が出るのと同じで、例えるなら「糸電話」のような仕組みになります。有線(声帯・声道)=糸として考えるとわかりやすいでしょうか。
いっぽう、携帯電話やスマホのような無線通信の場合は、主に「ハイブリッド符号化方式」という通信方式を使います。話し声は、まずスマホ内でデジタル変換されたあと、「固定コードブック」という“音の辞書”(スマホ内で数学的につくられるもの)から元の声に近い声のパターンが選ばれ、自動合成されます。その音声を電波に乗せ、相手に届けるという仕組みです。さらに受信先のスマホでもまた「届いた声に近い声」に合成され、再生されます。
この“音の辞書”たる固定コードブックとは、声のパターン、すなわち音の素の組み合わせが入っていて、その数は約43億通りにものぼるそう。また固定コードブックと一緒に「適応コードブック」という音声コードのメモ書きのようなものも参照することで、より元の声に似た声を生成できるのだそうです。
文章にすると複雑な流れになっていますが、実際はこの「ハイブリッド符号化方式」は「波形符号化方式」よりも通話時のデータ容量が16分の1程度と非常に軽く、回線に負荷がかからないのが大きな特徴です。限られた回線を効率よく使うために開発された技術なんですね。
SNSアプリで使われる音声は?
現在は電話だけでなく、LINEなどのSNSアプリをはじめとしたさまざまな通信手段が増え、それにもとない無線技術も進化してきています。SNSアプリでの音声通話の場合は「ハイブリッド符号化方式」「波形符号化方式」のほか、音楽向けの符号化方式も採用されているそうです。無線でも有線並に大きなデータを送受信できるようになってきており、容量を軽くする必要性が薄れてきているのです。
スマホ通話音声も、今は容量を軽くするための合成音声がメジャーですが、より原音に近くなっていくのはもちろん、さらに声だけを際立たせる、臨場感を持たせる……など、個人の好みに合わせた音声方式が開発されていくと考えられています。
スマホの声が本人の声ではない、というのはやはり驚きでしたが、私たちが気づかないうちに音声技術はどんどん進化しているんですね。「つながる」ことがますます重要性を帯びてきている昨今だからこそ、声が届くことの大切さを今一度、振り返ってみてもいいかもしれません。
<参考サイト>
・「スマホの声は、本人の声ではない」説は本当?人の声が届く仕組みを解説 (「TIME&SPACE」 KDDI)
https://time-space.kddi.com/feature/tsushin-chikara-sp/20160404/
・携帯電話で話すあなたの声は、実は「勝手につくられた声」だった(「週刊現代」 講談社)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72327
・「スマホの声は、本人の声ではない」説は本当?人の声が届く仕組みを解説 (「TIME&SPACE」 KDDI)
https://time-space.kddi.com/feature/tsushin-chikara-sp/20160404/
・携帯電話で話すあなたの声は、実は「勝手につくられた声」だった(「週刊現代」 講談社)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72327
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
実際に史料をどうやって読み解いていけばいいのか。今回から具体的な史料の読み解き方をケース・スタディしていく。最初は『太閤記』に関する参考資料を用いて、太閤・豊臣秀吉と関白・秀次の関係を考える。そもそも『太閤記』...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/22
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16


