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DATE/ 2022.09.11

スマホの充電は「電気窃盗」になるのか?

 家を出る前にスマホの充電をし忘れてモバイルバッテリーも忘れてしまった…そんな時には会社に着いたら充電する、または出先のカフェなどで充電するという人も珍しくないでしょう。しかし、こういう行為が電気窃盗として犯罪になる可能性があることをご存じでしょうか。

電気窃盗とは?

 窃盗が罪になることは周知の事実ですが、法律でも刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。

 とはいえ、電気は形のないものなので窃盗罪の対象になるのかと疑問にも思いますよね。実は刑法245条に「この章の罪については、電気は、財物とみなす」とされていて、電気も窃盗されるものとして定義されているのです。この一文がつけられたのは、現在ほど電気が普及していなかった明治時代のこと。無断で電気を引き込んだある企業が電気会社に訴えられるという事件が起き、この裁判の争点になったのが「窃盗罪でいう他人の財物に電気は含まれるのか?」ということでした。結論として最高裁が電気は財物として解釈し、明治40年に施行された刑法でこの一文が明記されるようになったのです。

電気窃盗かどうかの境界線は

 現在ではカフェでも自由に使えるコンセントがあったり、会社でも社用パソコンや社用携帯などのためのコンセントがあったり、自宅以外で気軽に充電できる環境が整っています。ここで気をつけたいのが電気窃盗になる境界線はどこかという点です。

 とはいえ、スマホやパソコンの充電はグレーゾーンが多く、明確な境界線がないというのが現実です。そのため、使用が禁止されている場合にはNGですし、常識の範囲で使っているかどうか、というのが判断基準になるでしょう。

 たとえば、会社の規則で「私用の充電を禁止する」と規定されているにも関わらずプライベート用の携帯やタブレットを充電する、お店で「コンセントの使用はお断りしています」と書かれているのに使う、などは明らかにルール違反ですので、法律に抵触しているといえます。

 一方でカフェの机や新幹線の座席に設置されたコンセントなど使用が認められていることもあります。これらは、利用客の利便性を上げるためのサービスのため、スマホやパソコンの充電であれば問題がないでしょう。しかし、他の利用者に迷惑がかかるような使い方はトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

外出先のコンセントは要注意

 スマホやパソコンの充電は金額が微々たるものなので、立件されることは多くありません。電気窃盗の刑罰に至った例としては電気料金を滞納していた男性がアパートの共用コンセントから電気を引いてテレビを見て、2円50銭相当の電気を窃盗したとして懲役1年、執行猶予3年の刑が言い渡されたという事件が起こっています。

 良いか悪いかの判断をつけるのが難しい、外出先でのコンセントの使用。使用できるかどうかを確認して使う、なるべく外で使用しないで良いようにモバイルバッテリーを持ち歩くなどの工夫をして、無意識に電気窃盗してしまわないように気を付けることが大切です。

<参考サイト>
・スマホの無断充電は「窃盗」? - 「ほう!」な話 | 福岡県弁護士会
https://www.fben.jp/hou/20210728.html
・ついやりがちな「会社でスマホの充電」 法律的には罪になるって本当? | ファイナンシャルフィールド
https://financial-field.com/living/entry-12864
・【弁護士が解説】電気窃盗とは?電気のどろぼうは窃盗罪で立件!│ベリーベスト弁護士法人
https://best-legal.jp/electricity-theft-55121/

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