社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.11.18

退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社」TOP10

 新卒で入った会社で定年を迎える、というのが当たり前だったのは過去の話。現在では個人個人のキャリアプランを考える上でキャリアアップの退職、ポジティブな転職も珍しいものではなくなりました。これまでは退職者が多い会社=ブラックな会社という方程式が常識でしたが、必ずしもそうではないと言い換えることもできます。

 今回は社員による会社評価の口コミサイトであるOpenWorkが実施した『退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2022」』をもとに、どんな会社がランクインしているのか、そこから見える変わりつつある退職事情に迫っていくことにしましょう。

辞めたけど良い会社TOP10

1位 マッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社
2位 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
3位 スカイライト コンサルティング株式会社
4位 特許庁
5位 グーグル合同会社
6位 アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社
7位 P&Gジャパン合同会社
8位 ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
9位 株式会社KPMG FAS
10位 サントリーホールディングス株式会社

 ランキングの結果は上の通り、外資系の世界大手コンサルティング会社の日本支社であるマッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社が第1位となりました。

 TOP10を見てみると半数以上が外資系で占められていること、4社はコンサルティング会社であることがわかります。これらに共通しているのは「その会社で自分のスキルを磨いて成長できたら次のステージに行くことは当たり前」という風潮があること。不満があって退職するのではなく、その会社で得られた経験やスキルをふまえたポジティブな転職であることが多いので、前職の会社が高評価につながっていることが多いと考えられます。

企業と退職者の新しい関係性「アルムナイ」

 ランキングに入った会社のみならず、ポジティブな理由での転職は年々増加傾向にあります。それに伴い、退職者と企業の関係も変化していて、最近では退職者との関係性を活用するアルムナイ制度を導入する企業も増えています。

 アルムナイとは、英語で「同窓生・卒業生」を意味する言葉で、人事用語では退職者を指します。これまでは退職したら会社との関係は終わりになることがほとんどでしたが、在籍時と違った形で会社と関わったり、退職者がコミュニティを作って交流することで新たな価値を創造する場になっているのです。

 たとえば、会社を退職したあとに業務委託の形で再び一緒に業務をするケースもあります。一度会社から離れた人材は、社内にいると見えなかった新たな知見やアイデアに触れる機会もあるため、改めて業務に加わることで社内だけでは見えなかった視点を取り入れてくれることが期待できるのです。また、アルムナイ同士が交流する機会をもうけているような場合には、その場が新たなビジネスを結びつける場として機能させることもできます。

変化していく労働環境

 かつての週休2日制、終身雇用など当たり前だった概念は次々と覆され、働くことに対する新しい考え方は次々と生まれ浸透してきています。そのなかのひとつでもあるアルムナイ制度は、変化に対応していく中で企業にとって大きなメリットを生み出してくれるでしょう。アルムナイ制度を導入している企業はまだ少ないですが、今後より一層普及していくことが期待されています。

<参考サイト>
・退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2022」 OpenWork 働きがい研究所
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_100
・退職者とのつながりが資産になる、アルムナイとは?| マイナビキャリアリサーチLab
https://career-research.mynavi.jp/column/20220613_28871/
・アルムナイ採用とは?メリット・デメリットと3社の成功事例を紹介 | Wantedly
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/alumni_top/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
2

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方

眠る環境は各家庭の状況や個人の好みによって大きく異なるが、一般的に「良い睡眠」のために望ましい環境はどのようなものだろうか。布団や枕などの寝具、エアコンなどの室温コントロールを含めた寝室の環境、また寝つきの良く...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/07
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係

世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係

数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家

数学も音楽も生きていることそのもの。そこに正解はなく、だれもがみんな数学者で音楽家である。これが中島さち子氏の持論だが、この考え方には古代ギリシア以来、西洋で発達したリベラルアーツが投影されている。この信念に基...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/08/28
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道

役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/06
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家