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高速道路の渋滞を避けられる合流方法とは?
高速道路で渋滞に出くわすと、どうしてもイライラしちゃいますよね。特にジャンクション(JCT)付近の合流地点は車の流れが悪くなりやすく、渋滞が発生する大きな要因のひとつとなっています。
少しでもこうした混み合いを解消するため、NEXCO中日本の名古屋支社は“渋滞のメッカ”と呼ばれる一宮JCT付近にて「ファスナー合流」と呼ばれる合流方法を促す対策を2019年11月29日から実施。その効果検証の結果、昨年と交通量は変わらなかったにも関わらず、渋滞による損失時間が3割も減少したという結果を発表しました。
NEXCO中日本が行った対策とは、いったいどのようなものだったのでしょうか。そしてこの対策のカギとなった「ファスナー合流」とは、いったいどのような合流方法なのでしょうか。
別車線から走行車線に入るまでは、加速区間が設けられています。本来であれば、車両はこの加速区間で徐々にスピードを上げながら、本線と合流するのがルール。しかし本線が渋滞していると、この加速区間を使いきる前に本線に入ろうとする車が増え、あちこちで譲り合いが発生。結果的に合流地点が増える形となってしまい、本線の流れをせき止めてしまうのです。
合流する側としては「早く合流しておきたい」「先頭まで行って割り込むのは気が引けるから今のうちに入りたい」といった心理になりがちですが、NEXCO中日本は「(加速区間途中の合流は)接触事故や新たな渋滞を引き起こす原因にもなる」として、このような合流は控えるよう呼びかけています。
そのかわりNEXCO中日本が推奨しているのが、「ファスナー合流(別名、ジッパー合流)」です。
こうすることで、本線側の車はあらかじめ速度調整が行えるようになり、ブレーキを踏むことなくスムーズに進むことができます。
1台ずつ入るというのは一見じれったく感じられるかもしれませんが、実はこれが最も安全かつ理にかなった合流方法であり、海外では当たり前になりつつあります。特にドイツではこのファスナー合流が徹底されており、合流の妨害は法律違反になっているほどだとか。
NEXCO中日本は、このファスナー合流が日本でどの程度効果を上げられるのか、一宮JCTで実証実験を開始。加速車線と走行車線の間に設置されている紅白のラバーポールを加速車線の先頭まで伸ばすことで、先頭から1台ずつ走行車線へ出るよう促す形にしたのです。結果は、前述した通り。ファスナー合流は、渋滞緩和に一定の効果があることが認められたのです。
2021年には、NEXCO東日本の管轄である圏央道(内回り)幸手IC~久喜白岡JCT間でもファスナー合流の試行運用が開始され、検証が続けられています。
首都高は一般の高速道路に比べカーブやトンネルの数が非常に多く、本線はもとより、合流車線すらカーブしている(しかも短い)ことが少なくありません。さらに合流地点も片側だけでなく左右両方にあるパターンも多数存在し、全体的に路線の絡み方が非常に複雑なのです。決して効果がないわけではありませんが、ファスナー合流だけでは渋滞を完全には回避しづらい現状があります。
とはいえ、ファスナー合流が渋滞緩和につながるのは確か。首都高に限らず、合流の際は慌てずに心の余裕を持つ、きちんとウインカーを出す、後続の車を確認するなど、基本をしっかり踏まえることが何よりも大切です。ついつい途中合流していた方はぜひ、ファスナー合流を積極的に取り入れてみてくださいね!
少しでもこうした混み合いを解消するため、NEXCO中日本の名古屋支社は“渋滞のメッカ”と呼ばれる一宮JCT付近にて「ファスナー合流」と呼ばれる合流方法を促す対策を2019年11月29日から実施。その効果検証の結果、昨年と交通量は変わらなかったにも関わらず、渋滞による損失時間が3割も減少したという結果を発表しました。
NEXCO中日本が行った対策とは、いったいどのようなものだったのでしょうか。そしてこの対策のカギとなった「ファスナー合流」とは、いったいどのような合流方法なのでしょうか。
ドライバーの心理が大きく影響? 合流地点で混み合うワケ
そもそも合流地点で流れが悪くなりやすくなる原因は、合流する車が加速区間の途中から、次々に走行車線へと入ろうとすることにあります。別車線から走行車線に入るまでは、加速区間が設けられています。本来であれば、車両はこの加速区間で徐々にスピードを上げながら、本線と合流するのがルール。しかし本線が渋滞していると、この加速区間を使いきる前に本線に入ろうとする車が増え、あちこちで譲り合いが発生。結果的に合流地点が増える形となってしまい、本線の流れをせき止めてしまうのです。
合流する側としては「早く合流しておきたい」「先頭まで行って割り込むのは気が引けるから今のうちに入りたい」といった心理になりがちですが、NEXCO中日本は「(加速区間途中の合流は)接触事故や新たな渋滞を引き起こす原因にもなる」として、このような合流は控えるよう呼びかけています。
そのかわりNEXCO中日本が推奨しているのが、「ファスナー合流(別名、ジッパー合流)」です。
渋滞緩和に効果アリ! 全ドライバーが学ぶべき「ファスナー合流」
ファスナー合流とは読んで字のごとく「ファスナーのように、車が1台ずつ交互に入る方法」です。具体的には、合流する車は加速区間の先端まで進み、1台ずつ本線走行車の間に並んで入るというものです。合流地点が先頭の1点だけに絞られるということですね。こうすることで、本線側の車はあらかじめ速度調整が行えるようになり、ブレーキを踏むことなくスムーズに進むことができます。
1台ずつ入るというのは一見じれったく感じられるかもしれませんが、実はこれが最も安全かつ理にかなった合流方法であり、海外では当たり前になりつつあります。特にドイツではこのファスナー合流が徹底されており、合流の妨害は法律違反になっているほどだとか。
NEXCO中日本は、このファスナー合流が日本でどの程度効果を上げられるのか、一宮JCTで実証実験を開始。加速車線と走行車線の間に設置されている紅白のラバーポールを加速車線の先頭まで伸ばすことで、先頭から1台ずつ走行車線へ出るよう促す形にしたのです。結果は、前述した通り。ファスナー合流は、渋滞緩和に一定の効果があることが認められたのです。
2021年には、NEXCO東日本の管轄である圏央道(内回り)幸手IC~久喜白岡JCT間でもファスナー合流の試行運用が開始され、検証が続けられています。
首都高でもファスナー合流は有効だが……
東京の大動脈である首都高速道路の場合、その特殊な構造ゆえに、一般の高速道路よりも渋滞になりやすい要因がたくさんあります。首都高は一般の高速道路に比べカーブやトンネルの数が非常に多く、本線はもとより、合流車線すらカーブしている(しかも短い)ことが少なくありません。さらに合流地点も片側だけでなく左右両方にあるパターンも多数存在し、全体的に路線の絡み方が非常に複雑なのです。決して効果がないわけではありませんが、ファスナー合流だけでは渋滞を完全には回避しづらい現状があります。
とはいえ、ファスナー合流が渋滞緩和につながるのは確か。首都高に限らず、合流の際は慌てずに心の余裕を持つ、きちんとウインカーを出す、後続の車を確認するなど、基本をしっかり踏まえることが何よりも大切です。ついつい途中合流していた方はぜひ、ファスナー合流を積極的に取り入れてみてくださいね!
<参考サイト>
・高速道路で初の「ファスナー合流」大作戦の効果検証~一宮JCT(E1 名神 上り線)の渋滞削減効果を確認~(NEXCO中日本)
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/4747.html
・高速道路の加速車線「手前で合流」が渋滞の原因!? 「ファスナー合流」のススメ(くるまのニュース)
https://kuruma-news.jp/post/369929
・高速道路で初の「ファスナー合流」大作戦の効果検証~一宮JCT(E1 名神 上り線)の渋滞削減効果を確認~(NEXCO中日本)
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/4747.html
・高速道路の加速車線「手前で合流」が渋滞の原因!? 「ファスナー合流」のススメ(くるまのニュース)
https://kuruma-news.jp/post/369929
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