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世界の「廃墟遊園地」6選
「廃墟遊園地」という存在を聞いたことがあるでしょうか。読んで字のごとく、かつてにぎわいを見せていた子どもたちの楽園が、何らかの事情で閉園または休園し、そのまま残された場所です。さびついた遊具から何とも言えないノスタルジーを感じさせるとして、廃墟マニアの間で注目されています。
今回は、そんな廃墟遊園地を国内外あわせて6件、ご紹介します。
しかしバブル崩壊とともに客足は急激に落ち込み、2001年に休園。後藤氏はもう一度地元に活気を取り戻したいという思いからついには温泉まで掘り当てますが、遊具の老朽化などにより再開園の見込みがないまま、今に至っています。
「夢を継いでくれる人が出てくるまで撤去しない」と後藤氏が明言していることもあり、遊園地はほぼ廃墟同然ながら遊具はそのまま残されています。何度かメディアでも取り上げられ話題になるも、未だに買い手がついていません。
しかし開園当初から客足は鈍く、綱渡り状態が続いていました。というのも、富士ガリバー王国の所在地は当時、上九一色村と呼ばれた場所。1997年の2年前、日本を揺るがした大事件「地下鉄サリン事件」を起こしたオウム真理教の施設があった場所だったのです。
村についた悪印象の払拭を期待された富士ガリバー王国でしたが、アクセスが悪いうえ、近隣に「富士急ハイランド」があった影響もあり経営は悪化の一途をたどってしまいます。そして結局、たった4年で閉園になってしまったのでした。
現在は廃墟となり中に入ることはできないものの、遠巻きにその姿を見ることができるようで、SNSには横たわるガリバー像に雑草が茂る様子が投稿されています。その姿はなんとも痛々しく、心霊スポットとも噂されているようです。
受難だらけのまま閉園した富士ガリバー王国ですが、不思議なことに「公式ホームページ」はひっそりと存在しています。在りし日の園内のようすが掲載されていますので、ご興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょうか(公式ホームページURLは、コラムの最後の参考サイトを参照ください)。
ファミリーに大人気だった当園は、アヒルをモチーフにした可愛らしいジェットコースターが目玉アトラクションでした。しかし1990年、このコースターが脱線し、乗車していた少女が命を落とすという大事故が発生。しかもその数年後にふたたび脱線事故が起きて、またも少女が犠牲となったのです。来園者の数は激減し、とうとう閉園となったそうです。
この2度の脱線事故については公式からの発信がなく、実情は分かっていません。しかしだからこそかえって、不穏な噂が飛び交うようになったのでしょう。
遊園地は2011年に解体されたため、今は廃墟の様子を見ることはかないませんが、当のアヒルコースターが脱線しそのまま放置されている様子や、メリーゴーランドの馬が無残に転がっている様子などを映した画像をネット上で見ることができます。
遊園地にはゴーカートやパラトルーパー、観覧車が設けられ、開業は1986年5月1日のメーデーの日とされました。
市民が皆、その日を心待ちにしていた5日前の4月26日。突然の出来事により、プリピャチ市民が一斉に街を離れる事態となってしまいます。そう、チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故です。
原発からわずか数kmの距離にあったプリピャチ市にはもはや誰も立ち入ることはできず、街は無人化し、プリピャチの名も地図上から消失しました。できたばかりの真新しい遊園地も、そのまま打ち捨てられることになったのです。
観覧車は誰の笑顔も乗せることなく、原発事故の悲惨さを伝えるシンボルとして、今も廃墟の街にたたずんでいます。
ここは世界有数のホラースポットとしても知られています。園内に残された観覧車が、動かす人もなければ通電もされていないのに、ゆっくりと回っているというのです。
風がない日でも同じ方向に動くので、いつしか「幽霊のしわざだ」「幽霊観覧車だ」と呼ばれるようになりました。現在もこの謎については解明されていないようです。
なお、ドイツはこの遊園地を観光地化しており、定期的に内部見学ツアーが催されています。
「スタージェット(Ster Jet)」というそのジェットコースターは桟橋上に建てられた大人気アトラクションでしたが、2012年に発生したハリケーン「サンディ」が当地を襲撃。桟橋とコースターを巻き上げたのです。
幸か不幸か、コースターはその形をとどめたまま海へと着水。被害は甚大ながら、海の上に浮かぶ巨大生物のような姿となり、くしくも海と夕陽が重なり合う奇跡の光景を生み出すことになりました。ハリケーン災害の象徴として、そして美しい廃墟スポットとして、多くのメディアや廃墟マニアから注目されようになったのです。
すでにジェットコースターは撤去されてしまいましたが、ネット上にはこの「海に浮かぶジェットコースター」の幻想的な姿をとらえた写真の数々が残されていますので、興味がある方は検索してみてください。
今回は、そんな廃墟遊園地を国内外あわせて6件、ご紹介します。
化女沼レジャーランド(日本・宮城県)
廃墟マニアの聖地ともいわれるのが、宮城県の大崎市にある化女沼レジャーランドです。戦争の傷跡が残る1979年、不動産会社を経営していた後藤孝幸氏が、人々の希望となる場所をつくりたいという願いから私財をなげうち開園。4万5,000坪という広大な土地に誕生した当園は東北地方の一大観光スポットとして人気を博し、連日訪れる人であふれかえりました。しかしバブル崩壊とともに客足は急激に落ち込み、2001年に休園。後藤氏はもう一度地元に活気を取り戻したいという思いからついには温泉まで掘り当てますが、遊具の老朽化などにより再開園の見込みがないまま、今に至っています。
「夢を継いでくれる人が出てくるまで撤去しない」と後藤氏が明言していることもあり、遊園地はほぼ廃墟同然ながら遊具はそのまま残されています。何度かメディアでも取り上げられ話題になるも、未だに買い手がついていません。
富士ガリバー王国(日本・山梨県)
山梨県の富士河口湖町にある富士ガリバー王国はその名の通り『ガリバー旅行記』をコンセプトにしたテーマパークです。身長45mのガリバー像を中心にさまざまなアトラクションが設けられ、ワラビーやトナカイといった珍しい動物とふれあえる牧場や、ゴルフ場、ホテルも併設されるほどの規模を誇っていました。しかし開園当初から客足は鈍く、綱渡り状態が続いていました。というのも、富士ガリバー王国の所在地は当時、上九一色村と呼ばれた場所。1997年の2年前、日本を揺るがした大事件「地下鉄サリン事件」を起こしたオウム真理教の施設があった場所だったのです。
村についた悪印象の払拭を期待された富士ガリバー王国でしたが、アクセスが悪いうえ、近隣に「富士急ハイランド」があった影響もあり経営は悪化の一途をたどってしまいます。そして結局、たった4年で閉園になってしまったのでした。
現在は廃墟となり中に入ることはできないものの、遠巻きにその姿を見ることができるようで、SNSには横たわるガリバー像に雑草が茂る様子が投稿されています。その姿はなんとも痛々しく、心霊スポットとも噂されているようです。
受難だらけのまま閉園した富士ガリバー王国ですが、不思議なことに「公式ホームページ」はひっそりと存在しています。在りし日の園内のようすが掲載されていますので、ご興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょうか(公式ホームページURLは、コラムの最後の参考サイトを参照ください)。
オクポランド(韓国・巨済島)
韓国の巨済島にあったオクポランドは、いわくつきの廃墟遊園地として知られています。ファミリーに大人気だった当園は、アヒルをモチーフにした可愛らしいジェットコースターが目玉アトラクションでした。しかし1990年、このコースターが脱線し、乗車していた少女が命を落とすという大事故が発生。しかもその数年後にふたたび脱線事故が起きて、またも少女が犠牲となったのです。来園者の数は激減し、とうとう閉園となったそうです。
この2度の脱線事故については公式からの発信がなく、実情は分かっていません。しかしだからこそかえって、不穏な噂が飛び交うようになったのでしょう。
遊園地は2011年に解体されたため、今は廃墟の様子を見ることはかないませんが、当のアヒルコースターが脱線しそのまま放置されている様子や、メリーゴーランドの馬が無残に転がっている様子などを映した画像をネット上で見ることができます。
プリピャチ遊園地(ウクライナ)
ウクライナ北部には、かつてプリピャチ市という街がありました。そこは近隣のチェルノブイリ原子力発電所で働く労働者とその家族が住むために作られた計画都市で、最先端のインフラや住宅、病院、そして市民の憩いの場となる遊園地が建設されました。遊園地にはゴーカートやパラトルーパー、観覧車が設けられ、開業は1986年5月1日のメーデーの日とされました。
市民が皆、その日を心待ちにしていた5日前の4月26日。突然の出来事により、プリピャチ市民が一斉に街を離れる事態となってしまいます。そう、チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故です。
原発からわずか数kmの距離にあったプリピャチ市にはもはや誰も立ち入ることはできず、街は無人化し、プリピャチの名も地図上から消失しました。できたばかりの真新しい遊園地も、そのまま打ち捨てられることになったのです。
観覧車は誰の笑顔も乗せることなく、原発事故の悲惨さを伝えるシンボルとして、今も廃墟の街にたたずんでいます。
シュプレーパーク(ドイツ・ベルリン)
旧東ドイツ唯一の娯楽施設として、毎年170万人もの来園者を誇っていたというシュプレーパーク。しかし東西ドイツが統一化されてから10年後の1999年ごろから資金繰りが悪化。状況が好転しないまま、2002年に閉園してしまいました。経営者は国外へ逃亡、遊園地は放置され、廃墟化しました。ここは世界有数のホラースポットとしても知られています。園内に残された観覧車が、動かす人もなければ通電もされていないのに、ゆっくりと回っているというのです。
風がない日でも同じ方向に動くので、いつしか「幽霊のしわざだ」「幽霊観覧車だ」と呼ばれるようになりました。現在もこの謎については解明されていないようです。
なお、ドイツはこの遊園地を観光地化しており、定期的に内部見学ツアーが催されています。
番外:カジノ・ピア(アメリカ・ニュージャージー州)
最後にご紹介するのはアメリカの遊園地カジノ・ピアです。園自体は現在も通常通り運営されているため正確には廃墟ではありませんが、ここは「海に浮かぶジェットコースター」があるとして、かつて廃墟マニアの間でよく知られる存在でした。「スタージェット(Ster Jet)」というそのジェットコースターは桟橋上に建てられた大人気アトラクションでしたが、2012年に発生したハリケーン「サンディ」が当地を襲撃。桟橋とコースターを巻き上げたのです。
幸か不幸か、コースターはその形をとどめたまま海へと着水。被害は甚大ながら、海の上に浮かぶ巨大生物のような姿となり、くしくも海と夕陽が重なり合う奇跡の光景を生み出すことになりました。ハリケーン災害の象徴として、そして美しい廃墟スポットとして、多くのメディアや廃墟マニアから注目されようになったのです。
すでにジェットコースターは撤去されてしまいましたが、ネット上にはこの「海に浮かぶジェットコースター」の幻想的な姿をとらえた写真の数々が残されていますので、興味がある方は検索してみてください。
<参考サイト>
・閉園から20年…廃墟遊園地「化女沼レジャーランド」が辿った“数奇な運命”の全貌(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/38872
・ガリバー王国は現在どうなっている?廃墟となった跡地の実態を探る!(Travel Note)
https://travel-noted.jp/posts/20933
・眠りから覚めたシュプレーパーク(ドイツニュースダイジェスト)
http://www.newsdigest.de/newsde/regions/berlin/3522-spreepark/
・富士ガリバー王国
http://www.ne.jp/asahi/mkoba/z/gullivertop.htm
・閉園から20年…廃墟遊園地「化女沼レジャーランド」が辿った“数奇な運命”の全貌(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/38872
・ガリバー王国は現在どうなっている?廃墟となった跡地の実態を探る!(Travel Note)
https://travel-noted.jp/posts/20933
・眠りから覚めたシュプレーパーク(ドイツニュースダイジェスト)
http://www.newsdigest.de/newsde/regions/berlin/3522-spreepark/
・富士ガリバー王国
http://www.ne.jp/asahi/mkoba/z/gullivertop.htm
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