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DATE/ 2024.12.15

実は意味ナシ?要注意な節約術5選

 今も昔も、限りある資源を前提にすると、節約は美徳であり重要なスキルです。でも、かつて教えられてきた節約術のなかには、あまり有効でないものもありそうです。今回は、そんな節約術の有効性を検証してみましょう。

あまり意味がないかもしれない節約術

 昭和の節約術は家電や水道にまつわるものが多いです。技術の進捗によって、かつての裏ワザ的な方法が意味なく、無効になっているものがあるのでしっかり検証が必要でしょう。

・エアコンをこまめにON/OFF
 電気代の節約として室温に応じて、エアコンの電源をこまめにON/OFFする人が意外に多いです。特に暑かったりさむかったりする季節において、エアコンを頻繁にON/OFFするのは、節電においては逆効果です。エアコンが1番大きく電力を消費するのは、室温を設定温度するときです。そのため、外気温と室温の寒暖差が大きい時間帯はエアコンをこまめに消すよりも、つけっぱなしにした方が効率もよく節電につながる可能性が高いです。

・蛍光灯は消さない
 かつての室内灯とは蛍光灯が主流でした。蛍光灯は点灯するときに最も電力がかかるので、頻繁につけたり消したりすると電気料金がかかるといわれ、少しの時間であればつけっぱなしでよいとされていました。現在、室内電灯のおおくはLEDに置き換わっていることもありますが、必要がないときにはなるべく消しておくことがが節約になります。

・テレビを観ないときはコンセントを抜く
 かつてのブラウン管テレビは、すぐつけられるようなスタンバイ状態に待機電力がかかりました。そんな事情もあり、長期間家を空けるときだけでなく、普段の生活でもテレビを観ないときはコンセントを抜くことが推奨されていました。現在、ブラウン管から液晶テレビやプラズマテレビ、有機ELテレビなどの技術進捗により、スタンバイ時の待機電力がほとんどかからなくなりました。また、バックグラウンドで番組表やソフトウェア更新情報、メンテナンス情報など取得しているため、コンセントを抜くとそれらの情報を取得できなくなります。また、テレビによっては予約録画ができなくなってしまうこともあり、昭和から令和にいたった現在、コンセントは抜かないほうがよいです。

・トイレのタンクにペットボトルを入れる
 かつての水洗トイレはタンクが大きく、1回に流す水が大量だったため、水道代に大きく影響しました。そんな事情から、タンクに水を入れたペットボトルを入れ、1回の水の量を抑えることで節約する方法が流行りました。現在の水洗トイレは、節水タイプになっているので、このような必要はなく、逆にタンクにペットボトルを入れたり一度に大量の紙を流すと、つまりなどの故障の原因になりかねません。結果、節約以上の出費になる可能性がたかまりますので、ご注意ください。

・買い物は店をはしごして、1円でも安いものを買う
 とくに食費を抑えようと、スーパーをハシゴすることが節約になると考えている人が多いです。野菜はここのスーパー、肉類はあそこのお店、卵は直売所でというように、リサーチから実際の買い物にようした時間と移動コストを考慮すると、買い物ハシゴは節約にはつながらないケースがあります。時間や体力が必要となる節約は疲れが出てしまい、長く続けるのは難しく、費用対効果を意識して買い物計画をたてるようにしたいです。

いまやるべき節約術

 節電や節水にまつわる節約術の誤りは、便利な家電などに頼りすぎていたのが原因ともいえます。本来、自分が工夫してできることも少なくありません。

 かつて、エアコンがなかった時代、打ち水をしたり、つるのある植物を窓辺で育成し日光をさえぎるようにすると、植物がカーテン代わりになって陰ができるだけでなく、植物が出す水蒸気で熱も奪われるのでとても涼しくなるという、家電や電力に依存しない時代の工夫がもっとも効果的な節約術になるというものです。

 また、節約おいては毎月の収支を把握し、無駄遣いを防止することが大切です。なお、家計費には固定費と変動費があり、固定費の方が節約効果を期待できます。つねに費用対効果を意識し、節約行動からのストレスを貯めないように、無理のない行動をみにつけたいものです。
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授