シリア難民問題
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
隣国イランはシリア難民を一人も受け入れていない
シリア難民問題(3)解決に向けて~期待されるイラン
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏によれば、シリアをはじめとする難民問題は、今や国際社会全体で対応すべきレベルに達している。そこで、この難民問題解決に向け期待すべき国として山内氏はイランを挙げている。イランはシリアの隣国でありシリア紛争に介入してきた国だけに、果たすべき役割は大きい。(全3話中第3話目)
時間:11分21秒
収録日:2015年9月16日
追加日:2015年9月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●難民はシリア人だけではない

 
 皆さん、こんにちは。

 前回、前々回に引き続き、現在の中東で起こっている難民問題について、三度触れてみたいと思います。ヨーロッパでは、第二次世界大戦以来最大の難民危機、最大の難民問題が発生したと伝えられています。しかしながら、この難民危機というのはまだ始まったばかりだというところに、深刻さがあります。

 トルコにはまず200万のシリア難民が殺到し、レバノンには100万人、さらにそこを越えて欧州に入ってくる者たちの全てが、シリア人だけではありません。アフガン人、ひいてはリビアをはじめとするアフリカの人びとも、地中海を越えて入ってきます。こうした人びとは、自分たちの母国、祖国において、紛争で疲弊し尽くした人びとです。

 EUの中においては、難民問題をめぐる論争が活発になりつつありますが、いくらヨーロッパ、あるいはEUが寛容であっても、国際社会がこの問題に全体として取り組まなければ限度があるというのが、正直なところだと思います。数百万のシリア人が難民となり、これからもなるであろうという状況の中で、シリアを中心に、イスラム国(IS)のような過激派集団が国境を越えてシリアに潜入し、シリア、イラクを軸にして拡大し続けるというのは、誠に不幸なことです。


●シリアの難民とIS戦士の入れ替わり現象

 
 ひとたび生命を賭して海を渡ってヨーロッパに入国した難民たち、特にシリア人たちは、祖国に帰国することはなかなかに難しいものと思われます。反対に、数千人もの外国人がわざわざシリアに過激派としてやってきて、そこで犯罪、テロ、暴力、あるいは戦争に加担しているような人びとが、シリアから出て自分の祖国に帰国するということは極めて少ないかと思われます。

 これは誠に皮肉な現象です。シリア人は、父祖伝来の土地、国を捨てざるを得ず、捨てることを強いられているのに対して、代わりにアフガン人やチェチェン人といった過激派の人びとのみならず、イギリス、フランス等々のヨーロッパの若者たちが、イスラム国(IS)の戦士、兵士として、シリアに代わって登場してくるというのは、誠に不可思議、そして奇怪な現象、逆説だといわなければなりません。


●難民問題は各国協同で取り組むべき大事な問い


 難民と移住者は、仕事を見つけて、そこが安全だと感じられる限り、自分を受け...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…秀吉に怒られなかったのは秀長と家康だけ
黒田基樹
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
健診結果から考える健康管理・新5カ条(2)健診結果はダルマ落としでアプローチ
バラバラ事件!? 検査項目をバラバラに見てはいけない
野口緑
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(2)ヒトの子育てと脳の関係
チンパンジーは乱婚、ヒトは夫婦…人間の特殊性と複雑性
長谷川眞理子