脱デフレのポイント
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
内部留保の多い経営者は失格になる!
脱デフレのポイント(2)投資~物価と貯蓄の流動性~
伊藤元重(東京大学名誉教授)
脱デフレが進み、物価が1パーセント、1.5パーセント、2パーセントまで上がっていくようなことになれば、日本経済にとって40年ぶりの状態となる。当然、その脱デフレに向けて、これまでの考え方を一変させなければならない。考え方を変えられなかった人が「負け組」になってしまうのである。脱デフレをテーマに、日本経済を分析するシリーズ「脱デフレのポイント」第2回。
時間:11分50秒
収録日:2015年12月2日
追加日:2015年12月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●「国内投資の活性化」が鍵を握る


 前回、アベノミクスステージ2で本格的な経済拡大を続けていくためには、労働市場と投資が鍵になるという話をしました。労働市場についてはそこで詳しく述べましたので、今回は、もう一つの「投資」の話をさせていただきたいと思います。

 残念ながら、現在は企業の国内投資が必ずしも芳しくないために、日本経済がなかなか活性化しないのだろうと思います。これをどうやって拡大させていくかが、いま政策的に重要なイシューとなっています。政府と経団連、経済同友会、商工会議所などの官民対話では、ぜひ投資を増やしてほしいと政府が経済界に要請し、経済界もそれに応えています。ただし、そのためには法人税を下げることも含め、経済界がさまざまな対応をしてほしいと要望しており、議論になっています。

 こうした政治の場の動きをしっかりと見ていかなければなりませんが、今日申し上げたいのは、政治と関連して、経済の流れにも重要な動きがあるかもしれないということです。それは「物価」の動きです。


●日本の物価はどのように動いていくのか


 現在、日本の消費者物価指数(CPI)で見たインフレ率、物価上昇率は、ゼロ近辺で動いています。日本銀行が打ち出したインフレ率目標の2パーセントからはほど遠い状況で、一部の専門家からは、今後も物価上昇は実現できないのではないかという悲観論も出されています。しかしここに来て、どうやら物価は上がるのではないかという見方が強くなってきたように思います。

 理由は簡単で、この1年ほどで原油価格が110ドル、120ドルから、40ドル前後まで、ストンと落ちてしまったわけです。40年か50年に1回あるかないかというとんでもない事態が、世界の石油、天然ガスの市場で起こっているのです。これがエネルギーコストを大幅に下げ、日本の物価を下に引っ張っています。

 しかし、これだけの原油価格の下落が起こっているにもかかわらず、日本の物価はマイナスになっていません。つまり、石油や天然ガスの価格の影響を除くと、日本の物価はかなり上がっていると見て構わないのです。実際、日本銀行が出している統計によると、石油、天然ガス由来の影響を除く物価上昇率は1パーセントを超えています。東大の私の同僚である渡辺努教授が、日本経済新聞社と共同でスーパーやコンビニの価格から日々物価の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
こどもと学ぶ戦争と平和(3)「小さな外交官」と少年兵の問題
外国が攻めてきたらどうすればいい?戦争と少年兵の問題
小原雅博
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
プロセスこそが貴重…AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝