●いろいろな木を、いろいろに使う
森林資源の有効活用という意味では、山の木をいろいろに使うということがありますが、条件は太さだけではありません。他にもいろいろあります。例えば、曲がった木です。曲がった木は、建築にはやはりなかなか使いにくいものでした。というのは、柱や梁といった建物を構成する部材は、3メートル、4メートルの真っすぐな材でなければならなかったからです。
昔の民家の小屋組みの中には、「曲がり梁」や「牛梁」と呼ばれるような、曲がった材を屋根裏でうまく使う工夫もありました。ですが、そうしたものも、現代建築ではなかなか使われなくなってきました。そうすると、そのような曲がった材の使い道がなかなかなくなり、結果、当然ながら売れなくなってしまいます。
丸太の分類でいうと、「A材、B材、C材、D材」などと呼ばれていますが、真っすぐな材がとれるA材は、そのまま製材として住宅、あるいは、建築に使えるために、高く売ることができます。一方、ちょっと曲がってしまうと、B材、C材と呼ばれ、加工した木材にならざるを得ない。かつらむきのように剥いて、2ミリ、3ミリの単板、ベニヤの形にしてつくられた合板や、LVL(単板積層材)といった木質材料、あるいは厚さ3センチぐらいのラミナ(挽き板)材を接着して組み合わせた集成材などの材に変化していきます。
●B材、C材から生まれた「新しい木材」
こうしたB材、C材と呼ばれているものは、建築用にならなければ、パルプになってしまいます。山で育てた木を粉砕して、紙にしてしまう。木として成長したものを、木として使わないということになってしまうのです。そこで、現代の新しい木質材料として、このB材、C材を有効活用していく動きが出始めています。少し曲がっていて製材として扱いにくいものを、木質材料、再構成材として使っていこうという動きです。
これまで、合板、集成材、LVLと呼ばれる木質材料があったわけですが、最近ではCLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)と呼ばれる直交集成板、すなわち、厚さ15センチ、20センチといった厚い板がつくれるようになりました。大きさも3メートル×6メートル程度の非常に大きい板です。
こうした新しい木材、木を原料とした木質材料、再構成材が生まれることによって、これまであまり価値のなかったB材、C材...