都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
木造建築の耐震・耐火性能は都市なら鉄骨・RC造並みが必要
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(5)より豊かな都市空間へ
腰原幹雄(東京大学生産技術研究所 教授)
「木造」といえば問われる耐震性、耐火性。だが木造建築が強度で劣ったのは過去の話。技術の向上は鉄骨・RC並みの強度を実現し、木造による大空間さえも現実のものとした。東京大学生産技術研究所教授・腰原幹雄氏が都市木造建築の可能性を語るシリーズ「都市木造の可能性」最終回。
時間:8分05秒
収録日:2015年10月6日
追加日:2016年2月11日
≪全文≫

●阪神大震災以後、耐震性は飛躍的に向上


 都市部に木造建築をつくるといっても、何でもいいわけではありません。木造建築が都市部で建てられなくなった原因である防耐火性能については、当然ながら、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の都市建築同様の性能を持たなければなりません。そのための技術開発は、どんどん進められています。地震に強い木造建築、火災に強い木造建築が生まれてきています。そうした技術開発の結果、都市部にも鉄骨造、RC造と同じようなビルを木造で建てることができるようになりました。

 木造建築というと、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)で木造住宅がたくさん倒壊し、木造住宅の耐震性は低いなどということがよく言われていました。しかし、それからもう20年たっています。兵庫県南部地震をきっかけに、木造住宅の耐震性向上に関する技術開発は著しく向上しています。現行の建築基準法に基づいて建てられた木造住宅であれば、兵庫県南部地震の地震動を受けても安全が確保できる建物が建設できるようになっています。


●木材性能の数値化が構造解析を可能にした


 この技術の背景には、木造建築でも構造解析ができるようになったことがあります。それまでの大工の経験則に基づく建築から、工学的に評価できる建築が生まれるようになりました。構造解析ができるようになれば、当然、地震力、台風、鉛直荷重といったさまざまな外力に対して、安全であるかどうかを確認することができます。

 そこでもう一つ登場するのが、先ほどの再構成材に登場する「エンジニアードウッド」です。エンジニアードウッドとは、構造的な性能が明らかな材料の呼称で、再構成材だけではなくて成材も含みます。エンジニアードウッドには、木材のヤング率(弾性)、強度などが明確に表示されており、性能が担保されています。そうした材料を使って構造解析をすることにより、木造建物の安全性を確保できるようになったのです。

 これまでは木造住宅の解析技術でしたが、近年そうした木造のビル、多層の木造建築についても、振動台実験や構造解析によって安全性が確認されました。その結果、都市において4階建て、5階建ての木造建築が生まれるようになったのです。


●燃える木を使いながら、火災に対して安全


 一方、防耐火の面で見ると、一つ目の技術は、準耐火建築における「燃えしろ設計」という技...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知性の進化と科学技術文明の未来(1)ヒトは本当に賢いか
なぜ人類は進化できたか?…5つの環境要因と脳の発達
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(1)TRONは究極の「縁の下の力持ち」
坂村教授が開発したTRON―知られざる世界標準
坂村健

人気の講義ランキングTOP10
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男