●阪神大震災以後、耐震性は飛躍的に向上
都市部に木造建築をつくるといっても、何でもいいわけではありません。木造建築が都市部で建てられなくなった原因である防耐火性能については、当然ながら、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の都市建築同様の性能を持たなければなりません。そのための技術開発は、どんどん進められています。地震に強い木造建築、火災に強い木造建築が生まれてきています。そうした技術開発の結果、都市部にも鉄骨造、RC造と同じようなビルを木造で建てることができるようになりました。
木造建築というと、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)で木造住宅がたくさん倒壊し、木造住宅の耐震性は低いなどということがよく言われていました。しかし、それからもう20年たっています。兵庫県南部地震をきっかけに、木造住宅の耐震性向上に関する技術開発は著しく向上しています。現行の建築基準法に基づいて建てられた木造住宅であれば、兵庫県南部地震の地震動を受けても安全が確保できる建物が建設できるようになっています。
●木材性能の数値化が構造解析を可能にした
この技術の背景には、木造建築でも構造解析ができるようになったことがあります。それまでの大工の経験則に基づく建築から、工学的に評価できる建築が生まれるようになりました。構造解析ができるようになれば、当然、地震力、台風、鉛直荷重といったさまざまな外力に対して、安全であるかどうかを確認することができます。
そこでもう一つ登場するのが、先ほどの再構成材に登場する「エンジニアードウッド」です。エンジニアードウッドとは、構造的な性能が明らかな材料の呼称で、再構成材だけではなくて成材も含みます。エンジニアードウッドには、木材のヤング率(弾性)、強度などが明確に表示されており、性能が担保されています。そうした材料を使って構造解析をすることにより、木造建物の安全性を確保できるようになったのです。
これまでは木造住宅の解析技術でしたが、近年そうした木造のビル、多層の木造建築についても、振動台実験や構造解析によって安全性が確認されました。その結果、都市において4階建て、5階建ての木造建築が生まれるようになったのです。
●燃える木を使いながら、火災に対して安全
一方、防耐火の面で見ると、一つ目の技術は、準耐火建築における「燃えしろ設計」という技...