森と都市の共生~木材活用の豊かな社会
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
木の問題は採算性より「おまけ」の精神が解決の鍵!
第2話へ進む
木を伐ってもいいの? 森林保護の基本を知ろう!
森と都市の共生~木材活用の豊かな社会(1)山の森林と都市の森林
科学と技術
腰原幹雄(東京大学生産技術研究所 教授)
木質構造学を専門とする東京大学生産技術研究所教授・腰原幹雄氏が「森と都市の共生」をテーマに、木という素材、木造建築について語る。木の本質や木を取り巻く環境、社会の実態を知ると、「森林保護のために木は伐ってはいけない」といった固定観念が塗り替えられていく。目からうろこの木の世界! (2015年11月19日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー「森と都市の共生~都市木造の役割」より、全8話中第1話)
時間:11分51秒
収録日:2015年11月19日
追加日:2016年4月7日
≪全文≫

●木造ブームの裏に建築基準法改正あり


 東京大学生産技術研究所の腰原幹雄です。今日はよろしくお願いいたします。

 私は東大でも研究をしているのですが、もう一つ、都市の木造ということで「team Timberize」というNPO法人を立ち上げています。そこでは「都市の中に木造建築を増やしましょう」という活動をしていますので、ご興味のある方はそれを追っていただけるとよろしいかなと思います。

 生産技術研究所(生研)というのは、普通に考えると結構すごいところでして、「研究成果を社会に実装する」ということが目的で、最先端の研究者がたくさんいるのです。私が生研に来たのはもう10年ぐらい前なのですが、ここに入っていいのかな? というような感じでした。大体、木造なんて、なんだかハイテクではないし、ローテクで昔からやっているし、もうかりそうな匂いがしない。ましてや、林業というと何かあまり元気がないイメージだなというわけで、なぜ私が生研に呼ばれたのかがよく分かっていないのです。逆に言えば、生研がそういうところで、いま木造がちょっとブームになっている、ブームというか盛り上がっているというのは、やはりそういう嗅覚があるのかなという気もしています。

 そもそも、なぜ木造がいま盛り上がっているのかといいますと、一つ目は、2000年に建築基準法が変わり、木造でもビルが造れるようになったのです。それまでは、木造は2階建てか3階建ての小さい住宅しか造れなかったのですが、基準法の改正により、大きい建築やビルと呼ばれているようなものも木造でできるようになったのです。


●公共建築物の木材利用促進という画期的法律


 一方、もう一つ大きい法律がありまして、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されました。国が木造を応援してくれるというのですから、これはもう木造業界では衝撃的な法律なのです。

 実は60年ほど前に日本建築学会が「木造禁止」の決議をしているのです。というのは、戦後すぐで、山が焼けて木材がなくなってしまったので、「木材が貴重だから木を使うのを少し控えましょう」という理由もあったし、近代国家を目指すにあたっては、近代建築は鉄やコンクリートだから、「木造は原始的だからちょっと恥ずかしいよね」といった、多分そのような理由もあり、「都市不燃化運動」...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
2050年のための「前向きの愛国心」(1)木造都市へのシフト
木造ビルで20階…新しい暮らしを支える森林産業の確立を
小宮山宏
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮