森と都市の共生~木材活用の豊かな社会
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
木の問題は採算性より「おまけ」の精神が解決の鍵!
森と都市の共生~木材活用の豊かな社会(2)「地産都消」で木を生かす
腰原幹雄(東京大学生産技術研究所 教授)
木質構造学が専門の東京大学生産技術研究所教授・腰原幹雄氏が「森と都市の共生」をテーマに木と木造建築を語る。「木はもうからない」というのが定説だが、見方を一つ変えれば、木の新しい価値観が浮かび上がってくる。木造建築の新風を吹き込む腰原流発想の転換とは? (2015年11月19日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー「森と都市の共生~都市木造の役割」より、全8話中第2話)
時間:9分04秒
収録日:2015年11月19日
追加日:2016年4月14日
≪全文≫

●「木はもうからない」という現実


 前回、木のメリットや役割についてお話ししましたが、そうはいっても、実は木は安いので、全然もうからないのです。前回、50年ぐらい前に孫のために木を植えたという話をしました。では、木1本でいくらもうかるでしょう? 500円です。50年間育てて500円しかもうからない。その500円も実は苗木を買うお金にはなっていないのです。

 実は今は、ほとんど採算がとれない状況です。だから、山の人たちは、伐っても売れないから伐るのをやめましょう、となります。そうすると、先ほどお見せしたように、こういう手入れされていない状況になるのです。山から木を下ろすだけでお金はかかるわけで、でも、高くは売れないから下ろすのが面倒くさいわけです。そこで、税金が投入されて、山の整備のためにお金を使いましょう、ということになるわけです。ですから、木単独では実は売れていないのです。

 表に、国が投資している金額と市場規模が書かれていますが、木材や木製品の物質生産は2兆円ぐらいで、その程度の規模の市場です。これを他の山にあるもので比べると、最近は工場でも育てていますが、キノコ産業が大体2兆円規模です。ということは、実は山であれほど目立っている木材と、その下の方に生えているキノコで、同じぐらいの市場でしかない。だから、木材はもうけようがないのです。


●木が山を守っているという価値観が重要


 では、違う見方をしましょう。「木は山を守ってくれている」という見方があります。前回お話しした「地球を守ってくれている」という見方が一つありますし、「山を守っている」という価値観があるわけですね。

 例えば、景観や風致です。「山を見る」ということ。遠くからでも見る。つまり、山は、山単独ではなく都市から山を見て、あるいは飛行機から山を見て、または、山にレクリエーションで行って気分転換をしてくる。それだって、都市の人にとっては山の恩恵なわけです。それを療養、保養という市場でみると2.2兆円。もう物質生産と同じぐらいですね。その他、スポーツがあったり、風致、学習、教育、芸術などはお金に換算できないので分かりませんけれども。

 もっと大事なのは、実はこちらの水源涵養、土壌保全といった機能です。山は木を植えるためにあるわけではなく、水を蓄えましょうとか景観をつくりましょうとか...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(4)ビットコインは通貨たりうるか
ビットコインは通貨たりうるか…法定通貨との併存も困難?
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
新撰組と幕末日本の「真実」(3)「日野と多摩」の風土と天然理心流
田舎のヤンキー像は大違い…日野の豊かさと文武両道の気風
堀口茉純
これからの社会・経済の構造変化(3)新しいファミリーガバナンスの時代
なぜいまファミリー企業への注目が世界的に高まっているか
柳川範之