都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
木造建築の問題は山に木材の在庫管理システムがないこと
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(2)都市木造の抱える課題
腰原幹雄(東京大学生産技術研究所 教授)
都市木造を実現する上で、現状はさまざまな課題がある。どのような課題があり、どのように解決していけばよいのか。東京大学生産技術研究所教授・腰原幹雄氏が語る、シリーズ「都市木造の可能性」第2回。
時間:10分31秒
収録日:2015年10月6日
追加日:2016年2月1日
≪全文≫

●山にはまだ在庫管理システムがない


 では、都市で木造建築をつくるためには、どういったことを考えなくてはならないのでしょうか。木造建築は、実は関わる業種が多いという特徴があります。鉄骨造や鉄筋コンクリート造のような工業材料を使った建築では、どこでも、どんな材料でも基本的には手に入れることができ、机の上からインターネットで製品を選べば発注できます。ところが、木造建築に使う木材は自然素材ですから、何でも簡単に手に入るわけではありません。

 残念ながら、木材の価格は下がってきており、輸送費をかけることも難しくなってきました。できるだけ近くで材料を仕入れることが重要になっています。地産地消が求められているわけです。一方で、残念ながら木材資源が豊かな地域と建築需要が大きい地域は異なりますから、結局、山の方では近くの山から都市部に木材を供給する必要が出てきます。

 そのとき、都市部の方では、近くの森林にどういう資源があるか、どれくらい資源があるかを把握しなければ木材を適切に使えません。ところが、山にはまだしっかりとした管理システムがないのです。工業でいえば、在庫管理ができておらず、山にいったいどれほどの木があって、どれくらい産出できるのかが分からないのが現状です。


●木材の需要と供給のバランスがおかしい


 次に問題になるのは、そこから出てきた丸太です。丸太を製材して、建物をつくるのですが、製材業は小さい企業の集まりですから、突然、都市部に大きい建築をつくりたいといってもすぐに材料を手に入れることができません。集約化・大規模化するという考え方もありますが、大きい建築がいつも建てられているわけではありません。建物の需要が変化するなら、大きい仕事は小さな企業が団結して取り組み、小さな仕事は個々に動く形態でよいのです。そうしてようやく木材工業から建築業に木材が供給され、木造建築が建てられます。

 実はこの三段階、林業、木材工業、建築業の一連の流れは、川上、川中、川下と呼ばれていますが、この流れが整っていないことが木造建築の普及を阻害している原因です。山の人はどのような建築物がつくられるのかよく分からず、昔のような木造建築を前提に山で木を切り、製材しています。一方の建築業者からすれば、昔の和室や数寄屋造りの建築ばかりでなく、現代的建築が求められていますから、必要な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(1)進化のスパンと現在の人間生活
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
長谷川眞理子
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
三宅香帆
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
新撰組と幕末日本の「真実」(6)新撰組結成と清河八郎、芹沢鴨
清河八郎と芹沢鴨…乱闘事件や大和屋焼討事件の真相とは?
堀口茉純