イランのダブル選挙
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
イラン・ローハニ大統領の再選は有力か?
イランのダブル選挙(2)対外融和路線に呼応する民主化
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
2月末に行われたイランの国会選挙の最終結果は、同国独特の制度のために決選投票を経て4月に持ち越される。しかし、ローハニ大統領の路線が国民から支持を得、次回の再選に大きな一歩を踏み出したことは間違いない。1月にイランを訪問し、国内事情にも詳しい歴史学者・山内昌之氏が、二つの選挙の結果について分析を進める。(全4話中第2話)
時間:10分40秒
収録日:2016年3月2日
追加日:2016年4月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●イランの特殊な選挙事情と、現政権への実績評価


 皆さん、こんにちは。今日は、引き続きイランの国会議員選挙と専門家会議の選挙分析について、私の見方をお示ししてみたいと思います。

 まず、イランの選挙のプロセスですが、投票率は約60%という暫定的な数字が出されています。イランでは、各有権者が複数候補に投票することが可能で、有効投票の4分の1に届かない候補者たちは、約1カ月後に行われる決戦投票に進みます。そのため、最終的な結果が確定するのは4月以降になるという、大変独特な制度を取っています。前回2012年の国会議員選挙においては65議席が確定せず、決選投票にゆだねられました。したがって、現時点では最終的な議席数が未定であるということになるのです。

 さて、常識的に考えると、今回のハッサン・ローハニ大統領を支持する改革穏健派連合の躍進の背景には、昨年7月の核開発をめぐる欧米など6カ国との合意、JCPOAと略されるウィーン最終合意が成立したことがあるでしょう。ローハニ政権は、これによって今年に入ってから経済制裁解除を引き出しましたし、特にモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣などの活躍により、ローハニ大統領の対外政策が成功したという実績が評価されたと考える見方は、決して間違っていません。


●現大統領の対外融和路線は大統領再選に向けての動きか


 1989年6月以降、ハメネイ氏が最高指導者を占めるイラン・イスラム政治体制の中において、これまで改革穏健派の大統領は、アメリカとの国交正常化、EUとの貿易通商拡大、日本などの友好国との関係強化といった対外融和路線を試みてきました。例えばセイエド・モハンマド・ハタミ大統領などは、その代表的存在に当たります。

 しかし、この路線は常にハメネイ最高指導者を頂点として隠然たる力を振るう保守強硬派の反発を受け、十分な成功を挙げることができませんでした。また、前大統領のマフムード・アフマディネジャド氏が、保守強硬派として、欧米との対立や衝突を確定的にしたことも、ご案内の通りです。

 一方、ローハニ現大統領は、欧米をはじめとする外の世界との対話路線を重視しています。先月の外遊に際しても、ヨーロッパの協力は、国際的に見たイスラム過激派(ISなどをはじめとするテロリスト組織)との戦いにおいて必要なことだと、自ら語ったりして...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(4)官僚集団の問題と井伊直弼のジレンマ
井伊直弼のジレンマ…政治家の実力と同居した致命的な矛盾
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎