中国の夢~中華から語る「普遍」
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近代日本の「失敗」は東アジア共通の遺産
中国の夢~中華から語る「普遍」(3)日本の経験の共有
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏によれば、「中国の夢」という言説は、日本や韓国など東アジア全体を包む共同体の構想へと発展し得る。もし「中国の夢」をその方向で発展させるなら、かつて近代日本が犯した失敗も、その発展に貢献するものになるだろう。今後私たちは、中国とともに「中華」の普遍を夢見るだろうか。(全3話中第3話)
時間:10分04秒
収録日:2016年1月21日
追加日:2016年4月14日
≪全文≫

●「中国の夢」が行き着くのは、東アジア共同体の構想だ


 もちろん中国の中にも、第2話で取り上げた趙汀陽さんの議論に対する直接的間接的反応、批判的な反応があります。例えば上海の許紀霖さんという方は、新しい天下主義、「新天下主義」と言っています。現在の「中国の夢」とは、ただ富んで強くなる「富強」の点ばかり強調する民族復興の抗争と受け取られているのではないか。そこには、批判的な契機が十分に練られていないのではないか。そういうことを言います。そこで、彼は何と言うかというと、もし今、中国が普遍を語り、新しいディスコースの権利を手に入れていくならば、中国が自らを反省しながら、しかも中国の外と連携しながらやっていくしかないのではないか。こういう言い方をしています。

 彼が言うのは、共に享受する普遍性です。中国だけではなく、日本も韓国も台湾も、あるいはペリフェリーもそうです。それらが共に享受する普遍性を目指さなければいけない。中国だけが中心にいて中国的な普遍性を主張しても、誰もそれは納得をしないし、広がっていかない。それでは全く普遍的ではない。こういう言い方をしています。

 こう考えると、この、共に享受する普遍性が目指す「普遍」とは、当然ある種の東アジア的な共同体の構想につながっていきます。国民国家を簡単になくすことはできないが、それを前提として、来るべき東アジア共同体を考えた上での普遍性になっていかないといけないのではないか。これはなかなかに大胆な主張だろうと思います。彼はこの構想を指して「東アジア運命共同体」とまで踏み込んで述べているので、それがどこまで受け入れられるのかと思いますが。


●「韓国」と「儒家思想」から見た中華的な普遍


 この考えは、韓国の白永瑞(ペク・ヨンソ)先生も共通して持っています。単純に中国的な普遍を主張した場合、例えば韓国がそこから抜け落ちる可能性がありますね。韓国の持っている、ある意味で二重に周辺化されてしまっている歴史、すなわちヨーロッパからも周辺化されるだけではなく、東アジアの中でも周辺化されてきた。「中国の夢」ではその問題をきちんと考えることができない。そのような普遍であっては、やはりいけないのではないか。来たるべき普遍とは、韓国のような経験をも包み込むような、そういう普遍でなければいけないのではないのか。こういったことを言っ...

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