デジタル全体主義を哲学的に考える
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なぜ論語の中の「道」は世界的に役立つ普遍的概念なのか
デジタル全体主義を哲学的に考える(6)概念の普遍化に必要なこと
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
人びとの豊かな生を守るための概念として、平和、自由、平等、そして人権が挙げられる。これらの概念は普遍的価値として認識されているが、それぞれの国には異なる文化的・社会的な背景がある中で、ある概念が普遍的価値になるとはどういうことなのか。また、ある概念を普遍化させるためには何が必要なのか。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分06秒
収録日:2021年5月27日
追加日:2021年12月10日
≪全文≫

●概念自身が旅をすることによって普遍化していくことが必要


―― この本(『全体主義の克服』)の中で、もう一つ非常に興味深いのが、新しい普遍的な価値をどうつくっていくかという議論です。

 先ほど先生が問題提起したように、一つの考えが全体として全てを包含するということではなく、もっと偶然や他者の知恵などが加われるように開いていくほうがいいというときに、いかにその考え方を世界に普遍的なものとして、哲学的に打ち立てていくかという議論を、いろいろな方向からマルクス・ガブリエルさんとしています。

 今の普遍的な価値というと、一般的には例えば自由、平等、人権で、今のところ、これが世界では普遍的な価値といわれています。ただ、この本で先生が挙げているのですが、実はヨーロッパでこの概念が出始めた時代は植民地がありました。

 実際にそれらの概念を全世界で広めていけるのかというと、ヨーロッパにはヨーロッパの抵抗感があり、いってみれば、当時は白人だけのものでした。しかし、それがやがてだんだんと世界に広がっていったというイメージです。その部分の問題もお話しになっているのですが、一つの概念が普遍化していくというのは、どういうことなのでしょうか。

中島 今おっしゃったように、自由や平等、人権にしても、誕生した瞬間に普遍的であったわけではないと思います。それはある普遍化可能なものとして登場したことは確かですが、でも、当時のヨーロッパで考えていくと、ヨーロッパの外には、それは適用されていませんでした。そのため、いったんヨーロッパの外に概念が出る必要がどうしてもあったのだと思います。出ることによって、ヨーロッパ自身が揺さぶられて、鍛え直されていくと思います。

 そういう概念が世界的に旅をするといいますか、循環して鍛えられていく。そういう中で、自由や平等、人権が鍛えられていったのだと思います。だから、フランス革命のときの人権の概念と、世界人権宣言の人権の概念は、もう別物ですよね。

―― 世界人権宣言は第二次世界大戦後、すぐのものですね。

中島 成人男性だけに認められていた人権概念だと具合が悪いわけです。それがどうしても万人に開かれていかなければいけませんでした。そのため、いきなり普遍的な概念があるというより、概念自身が旅をすることによって、普遍化していくことがどうしても必要だと思いま...

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