デジタル全体主義を哲学的に考える
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格差や貧困の問題を解決するための鍵は反資本主義的なもの
デジタル全体主義を哲学的に考える(4)資本主義のあり方を問い直す
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
資本主義の波に溺れないためにはどうすればいいか。いったんその流れを切断しなければ、資本主義のあり方自体、見えてこないだろう。資本主義が差異を利用するシステムであることは変わらない。しかし、そのシステムにドライブがかかって、どんどん進んでいく中で、格差が広がっている。どこかでそれを止めるストッパーの仕組みを入れておかないといけない。そうしなければ、格差や貧困の問題は解決できないのではないか。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分22秒
収録日:2021年5月28日
追加日:2021年11月26日
≪全文≫

●資本主義的な流れを切断しなければ、資本主義は見えてこない


―― 考えてみれば、ヨーロッパ社会においても、例えば修道院があります。ある意味では、日本の禅寺に似た、あるいは匹敵するような人を育てる組織はずっと普遍的にありました。これはたぶん世界中いろいろなところにあったと思います。そういう人を高めるあり方に、どう光を当てて、大きくしていくかを考えることが、今後の資本主義の一つのあり方において大事になっていくのでしょうか。

中島 そうだと思います。よく「人材養成が大事だ」といわれますが、「人材養成をどういうイメージでお考えになっているのですか?」と逆に問いたいと思います。

―― 昔であれば、モデルパターンとして、こういうサラリーマンになったら良い、あるいはこういう経営者になったら良いというのがあったかもしれません。しかし、ここまでの社会になってくると、こういう人が良いというのがなかなかつかみづらいですね。

中島 そうです。やはり資本主義なら資本主義のあり方自体を、大局的にも、あるいはミクロでも把握できる能力が必要だと思います。こういう言い方をすると矛盾に聞こえるかもしれませんが、そのためには、資本主義的な流れからいったん身を切断していかなければいけません。そうやって見ないと、資本主義は見えてこないと思います。切断して、もう一回、つなぎ直してみる作業が必要なのではないでしょうか。現代的な禅寺や修道院にはそういう役割があるのかなと思います。

 資本主義の流れの中で、われわれはグルグルといつも溺れている感じですが、どこかでそれを切断していく契機が絶対に必要です。本当は資本主義自体がそれを大事にしたほうがいい気がします。そうしないと、資本主義はもう資本主義ではないものに変質して、消えてしまうかもしれない気がします。


●人が変容するために必要なのは情報を減らしていくこと


―― カトリックの歴史でいうと、(権力と癒着した時期と、権力と対峙する時期とでいろいろとありましたが)いわゆる世俗権力とは違うもう一本の柱としてずっとありました。この資本主義においても、ある意味ではそうしたもう一本の柱としての価値観をつくっていくことで、中にいたら分からないことも、外から見られるようになるというイメージでしょうか。

中島 私はそうだと思っています。

―― デジタル全体主義の話...

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