「穏健保守」とは~大平正芳先生に学ぶ~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「田園都市構想」は現在につながる素晴らしいビジョン
「穏健保守」とは~大平正芳先生に学ぶ~
野田佳彦(衆議院議員/第95代内閣総理大臣)
保守を標榜する野田佳彦元総理が目指すのは「穏健保守」。しかし、いま「陰険保守」の傾向が強まっているのではないかと、危惧する野田氏。その胸中とともに、かつての「穏健保守」・大平正芳元総理について語る。
時間:4分52秒
収録日:2014年2月27日
追加日:2014年4月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●「陰険保守」では、保守の本分を忘れることになる


---- 次のテーマですが、いま「穏健保守」がすごく少なくなっていて、そういった方の声が上がらなくなってきていると思います。野田さんは、大平さんといいますか、宏池会的な部分をふんだんに持たれていると思うのですが、本来保守グループというのは、「穏健保守」が主流になっていかないといけないし、過激な保守だけではうまく回らないですよね。その「穏健保守」があまりにも弱くなってしまって、声が上がらなくなってきています。これは、戦後政治の中でかなり珍しい局面だと思うのです。岸政権の時よりも、もっとそういう人の声が出なくなってきているということで、今回は、「穏健保守」についてお話いただければと思います。特に大平さんのことについても触れていただければと思います。

野田 私の所属している民主党は、いろいろと多様な人たちがいます。でも、括ると、中道、リベラル、そして私のように保守を標榜している人も少なからずいます。そんな中で、私が目指している保守は、「穏健保守」です。
「穏健保守」とは、要は、国民にとって保守というものが、安心して、落ち着いて穏やかな気持ちで暮らせるような世の中をつくることだと思うのです。ハラハラさせたり、ドギマギさせたりすることではないはずなのです。その意味では、いま行き過ぎてしまっています。もちろん、どんな思想を持っていてもいいのです。僕と同じ思想を持っている人も自民党にいます。でも、「その思想でなければいけない」と、他の人を口汚くののしるほど言ってしまうのは、どうかと思うわけです。
国内で、そういったことがこのあいだもありましたね。NHKの経営委員の人のような。違う人を一刀両断で切って捨てるような言い方、それは他の国に対してもそうではないですか。自分の国のナショナリズムで自分の国だけ都合よく解釈して、他の国のナショナリズムを認めない。そういった多様性を認めないようなところにいってしまうと、本当の保守の本分を忘れることになります。それを偏狭なナショナリズムと言うのでしょうが、僕はもっと分かりやすく「陰険保守」と言っています。「陰険」と「穏健」は、大きく違います。自分の意見をしっかり持っていてもいいのです。ただ他の人を口汚くののしって捨てるようなやり方はよくありません。それをやってしまったら、本当に了見が狭くな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
ロボットの「カンブリア爆発」時代へ電動化がもたらすもの
岡本浩
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(2)「ほめる」技術
男性は「ほめる」のが苦手?傾聴から始まる「ほめる」技術
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史