日本人が知らない自由主義の歴史~後編
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自由主義、保守主義、全体主義…真の社会全体の利益とは?
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(13)「自由な社会」を守るために
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
現代では「保守主義と自由主義(リベラル)は対立する」と思っている人も多い。だが本来、自由主義と保守主義は対立する概念ではない。そして、本当に自由主義と対峙するものは全体主義である。最終話である今回は、「保守主義の父」といわれるイギリスの政治家・エドマンド・バークを取り上げて、自由主義との関係について解説するところから始まる。実は、バークはトーリー(保守党)ではなく、ウィッグ(自由党)のしかも改革派だったというのだが……。さらに、自由主義の概念についてのポイントをおさらいしながら、全体主義との対比、そして自由主義の「これだけは絶対に譲れない共通項」を挙げて、本シリーズ講義を締めくくる。(全13話中13話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分18秒
収録日:2022年7月25日
追加日:2023年10月20日
≪全文≫

●自由主義と保守主義は両立する考え方


―― そのような中で今、保守主義という言葉も出てきました。(そこで、このスライドで)本来の保守主義はどういうものか、また保守主義と自由主義はどのような関係かという興味深いご指摘をいただいています。

柿埜 ええ。保守主義というと、「自由主義と反対」「リベラルと保守は対立する」といった発想が非常に多いのです。特に日本の保守主義といわれる方々は、どうもそういった傾向が強いかなという気がします。ただ、保守主義と自由主義は本来、対立する概念ではないのです。

―― 違うのですね。

柿埜 「保守主義の父」といわれるのは、エドマンド・バークというイギリスの政治家で思想家だった人です。ですが、これは実は後世につくられた評価で、バーク自身は保守党(トーリー党)ではありません。その逆で、ウィッグ党(後の自由党)の、しかも改革派のメンバーだったのです。

―― 普通であればトーリーだと思ってしまいますよね。

柿埜 違うのです。この点は、ものすごく勘違いをされています。彼は実は、名誉革命後のイギリスの憲法にもとづく体制を擁護して、絶対王政と闘った人です。アダム・スミスを非常に尊敬していましたし、だから自由市場経済をとても支持している。保護貿易が支持されるような動きがあった時には、それを明確に反対しています。

 (また、)彼はフランス革命には確かに反対でしたが…。

―― これが、いわゆる保守主義的なところですね。

柿埜 そうなのです。けれども、アメリカ植民地の独立は支持しましたし、私から見ても「この人は自由放任主義すぎるだろう」というほど、実は自由市場経済を高く買っていた人です。「地主が貪欲であっても、まったく問題ない。市場経済がきちんとあれば、貪欲であればあるほど、むしろ小作人のためにもなるし、消費者のためにもなる。何が悪い」という主旨のことが、本当に書いてあります。

―― 本当の自由主義ですね。

柿埜 バークは反動的な思想家ではないのです。バークは伝統などそういったものをとても大事にした人で、伝統や慣習は確かにその人らしさの一部ですから、そういうものを大事にすることは自由主義に反しているわけでもないのですね。だから、バークは意識的にはむしろ自由主義者だったわけです。

―― このあたりの整理...

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