日本人が知らない自由主義の歴史~後編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
フリードマン『資本主義と自由』…自由な社会を守るために
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(9)ミルトン・フリードマンの主張
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
古典的自由主義について、経済学の古典の1つにミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』がある。“事実”を非常に重視するフリードマンは、ここで政治的自由と経済学的自由の関係性を実証的に明らかにしている。そして、政府の介入が問題を生み出すことを説得力のある事例を挙げて指摘しながら、介入の必要性がある場合についてもしっかりと主張している。それはいったいどのようなことなのか。今回は、フリードマンの唱える自由の概念とその自由を実現するために必要とした政策について解説する。(全13話中9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分15秒
収録日:2022年7月25日
追加日:2023年9月22日
≪全文≫

●政治的自由と経済的自由は結びついている


―― 続いて見ていきますのが、ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』です。これは1962年の本ですね。

柿埜 このフリードマンの『資本主義と自由』という本は、ほんとうに経済学の古典的な本です。ハイエクとフリードマンはよく一緒にされるのですが、ハイエクと違って、フリードマンはどちらかというと実証的な研究をハイエクよりも重視する人です。

 ハイエクやミーゼスは、確かに結果的に自由主義的な社会、自由市場経済のほうが社会は豊かになることを指摘してはいるのですが、彼らはどちらかというと抽象的な理論で考える傾向があります。それに対してフリードマンは、“事実”をとても重視する人です。「実際の研究の結果、こうなっている」ということを重視するわけですね。この『資本主義と自由』という本も、まさにそういう観点で書かれている本です。

 いわゆるリベラル(ニューリベラル)の方々は、「経済的な自由はたいして重要ではない。政治的な自由は大事だけれども、経済的な自由は大事ではない。むしろ制限したほうがいい」と考える傾向にあります。ですから、社会主義経済を行いながら個人の多様性を認めることが可能だと思っているわけです。ところがフリードマンは、「それは無理だ」ということを指摘します。

 どういうことかというと、まずそもそも、移動の自由や職業選択の自由といった経済的自由は、コロナ禍では、なし崩し的に制限されてしまった傾向がありますが、そうした経済的自由の制限は、自由の制限には変わりはありません。こういった移動の自由や職業選択の自由がない社会は、やはり自由がない社会と呼ぶのが正しい。

 それもその通りなのですが、政治的自由や精神の自由は、皆、抽象的なものだと思いがちなのですが、よくよく考えてみたらそんなことはありません。例えば、自分の考え方を人に知ってもらうためには、自分の頭の中だけで「この社会は間違っている」「こういう考え方ができる」などといろいろ考えることもできますが、具体的に何かを行うため(言論の自由を行使するため)には、物理的な基盤がなければ話にならないわけです。

 例えば、印刷会社が全部国営で、紙は国営企業しか売っていないという社会では、政府に反対する思想を宣伝しようと思っても、国営会社は紙...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「教養とは何か」を考えてみよう(1)「あの人って教養あるよね」とは
「哲学カフェ」再現講義第二弾「教養とは何か」語り尽くす
津崎良典
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(1)因果関係とは何なのか
原因と結果の迷宮―因果関係と哲学
一ノ瀬正樹
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
イラン戦争と終末論(2)終末論とトランプ政権への影響
イラン戦争で反ユダヤ主義が加速!?トランプ政権へのリスク
東秀敏
編集部ラジオ2026(13)心の「柔軟性」を高めるヒント
【10minでわかる】心の「柔軟性」を高めるヒント
テンミニッツ・アカデミー編集部
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(2)明治以降の物価推移とインフレ率
戦後日本のハイパーインフレの真実…その時、何が起きたのか
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
生き抜くためのチカラ~為末メソッドに迫る(4)人生の勝敗を考える
幸せの鍵「なにげなさ」とは何のことか
為末大
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(6)概念の普遍化に必要なこと
なぜ論語の中の「道」は世界的に役立つ普遍的概念なのか
中島隆博